インコタームズ2020

貿易を始める際に、まず初めに理解しておきたいのが「インコタームズ」です。

貿易は商習慣の違う海外企業と取引をすることになります。

日本の常識は世界の非常識と言われるように、細部の確認を疎かにすると思わぬ失敗に繋がります。

こういった世界の商習慣を共通の認識としてルール化したものが「インコタームズ」です。

海外商社との契約や、フォワダー、通関会社との折衝にも必要な知識になりますので、おさえておきましょう!!

 1.インコタームズとは 

貿易取引では、売主と買主の間で様々な取り決めが必要になります。

リスクの移転時点、運賃・保険料などの負担区分など、国際ルールとして定めた貿易条件を「インコタームズ」といいます。

※インコタームズ(INCOTERMS=International Commercial Terms)とは、国際商業会議所(ICC=International Chamber of Commerce)が策定した貿易条件の定義であり、世界で最も利用されている国際貿易取引条件のことです。

インコタームズは約10年に一度改定されており、ここでは「インコタームズ2020」について解説します。

 2.インコタームズが規定しているもの 

インコタームズは貿易取引全てを規定しているわけでは有りませんので注意しましょう。

✍インコタームズが規定しているもの

インコタームズは主に下記の3点を規定しています。

  1. 費用について:当事者(売主と買主)の費用負担の範囲
    一言で国際輸送といっても取扱範囲は非常に広いので、当事者間で負担する費用について決めておかなければなりません。
  2. 危険負担について:売り主が物品を引き渡すべき時と場所
    輸出入される貨物に、例えば「船の座礁による損失」や、「輸送途中の事故」「荷下ろし作業の不手際」などのトラブルが発生した際の損害は、どちらが負担するのかを規定しています。
  3. 当事者(売主と買主)の義務、役割
    売主(輸出者)と買主(輸入者)が貿易取引をする際にすべきことや用意するべき書類などを規定しています。

❏インコタームズ2020における売主・買主の義務

売主・買主の義務は下記のとおりです。

A:売り主の義務 B:買い主の義務
A1:一般的義務 B1:一般的義務
A2:引渡し B2:引渡しの受取り
A3:危険の移転 B3:危険の移転
A4:運送 B4:運送
A5:保険契約 B5:保険契約
A6:引渡書類/運送書類 B6:引渡書類/運送書類
A7:輸出通関/輸入通関 B7:輸出通関/輸入通関
A8:照合/包装/荷印 B8:照合/包装/荷印
A9:費用の分担 B9:費用の分担
A10:通知 B10:通知

✍インコタームズが規定していないもの

インコタームズは万能では有りません。規定していないもの(規定できないもの)もあります。

  • 売買契約が成立しているか否か
  • 売買される物品の仕様
  • 代金支払の時期、場所、方法、使用通貨
  • 売買契約の違反に対して請求できる救済方法
  • 契約上の債務の履行遅延その他の違反の結果
  • 制裁の効果
  • 関税の賦課
  • 輸出または輸入の禁止
  • 不可抗力または履行困難
  • 知的財産または上記違反が生じた場合における紛争解決の方法、場所、または法
  • 所有権の移転
  • etc…

上記の規定は別途売買契約等で規定することになります。

 3.インコタームズの概要 

インコタームズはアルファベット3文字で表示されます。

また、下記の2クラスに分類されます。

  1. すべての輸送手段に適した規則
  2. 海上及び内陸水路運送のための規則

それぞれ解説していきます。

✍1.すべての輸送手段に適した規則(Rules for Any Mode or Modes of Transport)

◆EXW・FCA・CPT・CIP・DAP・DPU・DDP◆

  • EXW(Ex Works・insert named place of delivery):工場渡し
    EXW
    ■売主(輸出者)の危険・リスク負担:売主(輸出者)が指定した工場・倉庫での引き渡しまで。
    ■売主(輸出者)の費用負担:売主(輸出者)が指定した工場・倉庫で引き渡すまでの費用。引取車両に積み込まない。
    ■通関:輸出通関及び輸入通関を買主(輸入者)が手配。
  • FCA(Free Carrier・insert named place of delivery):運送人渡し
    FCA
    ■売主(輸出者)の危険・リスク負担:買主(輸入者)が指定した運送人に商品を引き渡すまで。
    ■売主(輸出者)の費用負担:危険・リスク負担と同様。
    ■通関:輸出通関は売主(輸出者)が手配。輸入通関は買主(輸入者)が手配。
  • CPT(Carrier Paid To・insert named place of destination):輸送費込み
    CPT
    ■売主(輸出者)の危険・リスク負担:売主(輸出者)が指定した運送人に商品を引き渡すまで。
    ■売主(輸出者)の費用負担:指定仕向地までの運送費用(トラック輸送・海上運賃・航空運賃)。
    ■通関:輸出通関は売主(輸出者)が手配。輸入通関は買主(輸入者)が手配。
  • CIP(Carrier and Insurance Paid To・insert named place of destination):輸送費保険料込
    CIP
    ■売主(輸出者)の危険・リスク負担:CPTと同様、売主(輸出者)が指定した運送人に引渡すまで。
    ■売主(輸出者)の費用負担:指定仕向地までの運送費用(トラック輸送・海上運賃・航空運賃)と貨物保険料。
    ■通関:輸出通関は売主(輸出者)が手配。輸入通関は買主(輸入者)が手配。
  • DAP(Delivered At Place・insert named place of destination):仕向地持込渡
    DAP
    ■売主(輸出者)の危険・リスク負担:売主(輸出者)が輸入先の指定場所にて荷下ろしする前まで
    ■売主(輸出者)の費用負担:危険・リスク負担と同様。
    ■通関:輸出通関は売主(輸出者)が手配。輸入通関は買主(輸入者)が手配。
  • DPU(Delivered at Place Unloaded・insert named place of destination):荷卸込持込渡
    DPU
    ■売主(輸出者)の危険・リスク負担:輸入国の買主(輸入者)が指定する倉庫において商品の荷降ろしまで。
    ■売主(輸出者)の費用負担:危険・リスク負担と同様。
    ■通関:輸出通関は売主(輸出者)が手配。輸入通関は買主(輸入者)が手配。
  • DDP(Delivered Duty Paid・insert named place of destination):関税込持込渡
    DDP
    ■売主(輸出者)の危険・リスク負担:輸入国の買主(輸入者)が指定する倉庫において商品の荷降ろしまで。
    ■売主(輸出者)の費用負担:危険・リスク負担と同様。
    ■通関:輸出通関及び輸入通関を売主(輸出者)が手配。

✍2.海上及び内陸水路運送のための規則(Rules for Sea and Inland Waterway Transport)

◆FAS・FOB・CFR・CIF◆

  • FAS(Free Alongside Ship・insert named port of Shipment):船側渡
    FAS
    ■売主(輸出者)の危険・リスク負担:指定船積港で本船の船側に商品を置くまで。
    ■売主(輸出者)の費用負担:危険・リスク負担と同様。
    ■通関:輸出通関は売主(輸出者)が手配。輸入通関は買主(輸入者)が手配。
  • FOB(Free On Board・insert named port of Shipment):本船渡
    FOB
    ■売主(輸出者)の危険・リスク負担:指定船積港で本船の船上に商品を置くまで。
    ■売主(輸出者)の費用負担:危険・リスク負担と同様。
    ■通関:輸出通関は売主(輸出者)が手配。輸入通関は買主(輸入者)が手配。
  • CFR(Cost and Freight・insert named port of destination):運賃込み
    CFR
    ■売主(輸出者)の危険・リスク負担:指定船積港で本船の船上に商品を置くまで。
    ■売主(輸出者)の費用負担:指定仕向地までの運送費用(トラック輸送・海上運賃・航空運賃)。
    ■通関:輸出通関は売主(輸出者)が手配。輸入通関は買主(輸入者)が手配。
  • CIF(Cost Insurance and Freight ・insert named port of destination):運賃保険料込み
    CIF
    ■売主(輸出者)の危険・リスク負担:指定船積港で本船の船上に商品を置くまで。
    ■売主(輸出者)の費用負担:指定仕向地までの運送費用(トラック輸送・海上運賃・航空運賃)。
    ■通関:輸出通関は売主(輸出者)が手配。輸入通関は買主(輸入者)が手配。

 4.まとめ 

インコタームズは、あくまで物流部分の取り決めに過ぎません。

商品の品質や支払い条件などは、別途契約書で取り決めることになります。

また、例えば買主がDAP・DPU・DDPを求めたとしても、買主側の国に提携代理店がないと構築することは出来ません。

そのような場合はやむを得ずCPTやCIPでの交渉が必要になりますので、守備範囲の広いフォワダーと連携することは非常に重要です。

アクセス・ジャパンは世界中にネットワークを持っていますので、DAP・DPU・DDPなどの対応できる国は多数あります。

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