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日本の中古建機は、日本製ならではの頑丈さと、きめ細かい整備が海外から高い評価を受けています。
その結果、日本で使用された中古の建機の多くが輸出されています。
エジプトにも多数輸出されていますが、エジプト側で厳しい輸入規制があるので注意が必要です。
エジプト向けの建機輸出にチャレンジする方は必見です。
1.はじめに
エジプト経済は、北アフリカ地域における重要な経済圏であり、長い歴史を有する国です。
主として農業・工業・サービス業が三本柱になっています。
農業においてはナイル川流域の肥沃な土地を活用しています。
近年では、経済多角化しており政府主導でインフラ整備や産業振興政策を進めているため、インフラ整備には欠かせない機能性の良い日本の中古建機が重宝され輸出されています。
2.近年の輸出動向
以下、表とグラフはタップ・クリックすると拡大表示されます。
✍中古建機の輸出推移(数量、金額)
中古建機の全体的な輸出状況は安定していると言っても良いと思います。
2019年末からのコロナ禍においても壊滅的な状況にはなっていないようです。
では、どのような国・地域に輸出されているのかを確認します。
✍中古建機の輸出国比率(2025年)
かなり多くの国・地域に輸出されています。
グラフ上は「その他」に集約してしまっていますが、2025年の輸出先の国・地域は112にものぼります。
ほんの僅かしか輸出されていない国・地域もありますが、世界中に需要があることが見て取れます。
これらの輸出先の中でもベトナムへの輸出は数量、金額共に頭抜けています。
しかし今回は輸出に際して独特の仕組みを理解する必要のあるエジプトへの輸出方法について記していきます。
次はエジプトへの輸出状況を確認します。
✍エジプトへの中古建機の輸出推移(数量、金額)
2021、2022年に急激な輸出量の減少が発生していますが、それ以降は回復傾向にあるようです。
国連の人口推計によると、エジプトの人口は今後も増えていくと予測されているので、中古建機の需要はこれからも増えていくかも知れません。
3.気を付けること
✍エジプト向けの中古建機の条件
エジプトに輸入可能な中古の建設機械は製造から10年以内(エジプト側通関時)とされています。
エジプトでの輸入通関に時間がかかり、10年を超えてしまうとその時点で輸入不可となりますので、製造年に余裕をもった建機を輸出しましょう。
エジプト側の法律ですので、対応できるエジプトパートナーを選定することが重要です。
✍貨物情報の事前通告(ACIシステム)
このシステムは、エジプトでの手続き及び保管期間の短縮、貿易の促進、行政手続き電子化の促進、違法商品の輸入対策を目的に、2021年に導入されました。
エジプト国内の輸入者およびエジプトへの輸出者(海外企業)がそれぞれ共通のプラットフォーム上で申告・承認・作業をすることで上記の目的を遂行します。
- エジプト国内の輸入者向けプラットフォーム:Nafeza
(National Single Window for Foreign Trade Facilitation)
https://www.nafeza.gov.eg/en - エジプトへの輸出者(海外企業)向けシステム:CargoX
https://help.cargox.digital/en/egypt-aci/
運用手順
| 対応者 | 作業内容 | 書類作成者等 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 輸入者 | Nafezaへの企業情報登録 | エジプトの輸入者、または輸入手続き代行の通関業者が輸入者として企業情報をNafezaに登録し、ユーザー名とパスワードを取得する。 ※2回目以降、登録不要 |
| 2 | 輸入者 | 電子署名(E-Token)の取得 | ACIの電子手続きのため、電子署名(E-Token)を取得する。 現状、エジプト政府はMCDRとEgypt Trustの2社を電子署名登録業者として認証済。 |
| 3 | 輸入者 | Nafezaでの貨物情報の申告 | 輸入ごとにNafezaに申告する。 1.貨物情報:Commercial invoice情報、船積み情報、数量、HSコードなど 2.輸出者情報:法人登録番号、会社名、商標、国籍、連絡先など |
| 4 | 輸入者 | ACID 番号発行依頼 | Nafezaにて貨物情報、輸出者情報を電子申告し、ACID番号(毎回の輸入申告ごとに異なる番号)の発行を依頼する。 ※ACID (Advance Cargo information Declaration)番号は19桁の識別番号 |
| 5 | 税関 | 貨物審査 | 税関にて貨物情報をもとに48時間以内に審査される。 危険物管理システムによる審査で、不許可となった際は理由が通知される。 例:輸入禁止品目、輸入禁止国の商品が含まれる(疑いがある)など。 |
| 6 | 税関 | ACID番号の発行 | 貨物審査が許可された場合、税関で48時間以内にACID番号を発行し、輸入者、輸出者にEメールにて通知する。 番号は発行から6ヵ月間有効。 ※通関手続きの必要書類へACID番号の記載が必要。記載がない場合、積み戻しの対象となる。 |
| 7 | 輸入者or輸出者 | 物流業者に通知 | 輸入者もしくは輸出者が、物流業者や運送(通関)代行業者に、ACID番号を通知する。 ※物流業者等もACIDを書類に記載する必要があるため。 |
| 8 | 輸出者 | CargoXへの企業情報登録 | 在外の輸出者用の申告システムCargoXへ企業情報(法人番号、国、社名、連絡先等)を登録。2回目以降登録不要。 <CargoX登録ページ> |
| 9 | 輸出者 | 貨物・輸送情報、書類の電子申告 | 輸出者はCargoXにて輸出ごとに、貨物・輸送情報や手続き書類(Commercial invoice、Bill oflading (B/L) 等)を電子データで申告する。(手数料が課される) ※ACID番号記載が必要。NafezaとCargoXは連携。 |
| 10 | 物流運送業者 | 貨物リストを提出 | 物流・運送業者は、輸出港からの出航24時間以内に、貨物のリストをNafezaにて提出する。 確認通知が自動返信される。 |
| 11 | 輸入者 | 船積み書類を入手 | 輸入者または代行の通関業者は、Nafezaを介して受け取った通関手続き情報や書類を、Nafezaを通して税関へ電子申告する。 |
| 12 | 輸入者 | 貨物情報・書類の確認 | 輸入者(または輸入代行者)は電子署名(E-Token)にて、すべての書類に電子承認する。 |
| 13 | 輸入者 | 到着前通関申告 | 輸入者は、希望により、貨物到着前に通関手続きを申告することも可能(Form46を利用)。 税関は申告情報と書類を確認し、税金や関税の支払い等の通関手続きを貨物到着前に行う。 |
| 14 | 輸入者 | 到着後手続き・検査 | 輸入者は、貨物の到着後、通関手続きの申告を行う(上記のとおり事前申告も可能)。 税関や輸出入管理公社(GOEIC)等の関係当局による検査が実施される。 |
| 15 | 輸入者 | 承認後、受け取り | 税関による通関手続き、当局の検査が承認されれば、手続きは終了。 輸入者または代行者(もしくは物流業者等)が貨物を受け取り、エジプト内の最終目的地へ輸送できるようになる。 |
ACI関連の問合せ先
- エジプト国内の輸入者向けプラットフォーム:Nafeza
※MTS(Misr Technology Services)がNafezaを運用。
参考情報:「Nafezaウェブ」「Nafeza FAQ」 - エジプトへの輸出者(海外企業)向けシステム:CargoX
問合せ先:support@cargox.io
参考情報(英語): CargoXウェブ「Egypt ACI」、「User Manual」
✍コンテナ搭載について
コンテナ搭載時に注意すべきことがあります。
- ブルーシートによる養生
貨物をコンテナ搭載する際は、製品の泥を念入りに落としてください。
またコンテナ内部が汚れたり傷つかないようにするために、ブルーシートなど養生をしましょう。
コンテナを傷つけたり汚したりすると、エジプト側で船会社から「清掃費用」や「コンテナ修理費用」を請求されることがあります。
輸出者が払うのか、輸入者が払うのかで揉めることがあるので、そもそも揉める原因が発生しないような対策をしておきましょう。 - オイル抜き取り
オイル漏れによるコンテナの汚れを防止することはもちろんのこと、十分にオイル抜きがなされていないと船会社から受け入れ拒否をされることがあります。
しっかり抜き取るようにしましょう。 - 写真撮影
コンテナ搭載を始める前にコンテナの写真を撮っておきましょう。
エジプトでコンテナ返却時に損傷が見つかると、修理費用を請求されます。
コンテナ搭載前から存在する損傷について、エジプト側で修理費用を請求されては困ってしまいます。
このようなトラブルを回避するために写真は重要です。
必ずコンテナ搭載前と搭載後の写真を撮るようにしましょう。
✍RORO船利用について
コンテナに搭載できない中古建機を運ぶ際には、RORO船(Roll-on/Roll-off ship)を使用します。
Bookingの際には、コンテナ船を使用する際よりも詳細な情報が必要になります。
■必要な情報
- 建設機械の型番
- 重量
- サイズ(縦・横・高さ)
- エンジン式か電気式か
- その他必要な情報
注意
RORO船はコンテナ船に比べて航路が少ないため、希望する港に着けられない可能性があります。
分解してコンテナに搭載できる建設機械であれば、できるだけコンテナ船を選択するようにしましょう。
4.輸出に必要な書類
輸出通関に必要な書類は以下のとおりです。
| 書類名 | 書類作成者等 |
|---|---|
| インボイス | 輸出者が作成。 インコタームズ、商品名、個数、単価、金額、合計金額を記載。 |
| パッキングリスト | 輸出者が作成。 商品名、材質、個数、重量を記載。 |
| MTS Notification (ACID Number) |
ACIシステムで輸入者が入手したACID Number |
| Shipping Instruction | 輸出者が作成。この書類をもとにフォワダーはBLを作成します。 |
| 輸出抹消仮登録証明書 | ナンバープレートが付いている機体。運輸支局(陸運局)にて入手。 |
| 製造証明書 | 製造メーカーから入手。 |
| 譲渡証(Bill of Sale) | ナンバープレートが無い作業機。荷主が作成。 「誰が、誰に、いつ、どの機械を、いくらで売ったか」を英語と日本語で併記して作成し、社印や実印を押印 |
| 貨物写真、バンニング時の写真 | 輸出者が作成(バン詰め時に撮影) 税関輸出申告の際、及びコンテナダメージ発生時の対応に必要になります。 |
※インボイスとパッキングリストは情報が重複する部分が多いので「INVOICE&PACKING LIST」として内容を1枚に集約しても構いません。
※輸入国側が求める《産地証明書》や《放射線物質証明書》は、輸出通関時に税関へ提示することはありません。
❏インボイス・パッキングリストのサンプルを用意しました。
ダウンロードしてお使いください。
5.輸出通関(税関申告)
✍輸出HSコード ※2026年1月
■中古ブルドーザー及びアングルドーザー:8429.11-100
■中古農業用トラクター(エンジン出力によりHSコードが異なります)
- 18kW以下:8701.91-110
- 18kWを超え37kW以下:8701.92-110
- 37kWを超え75kW以下:8701.93-110
- 75kWを超え130kW以下:8701.94-110
- 130kWを超えるもの:8701.95-110
kW:キロワット
■中古ダンプカー:8704.10-100
■中古クレーン:8705.10-100
✍税関へ申告
インボイス・パッキングリストをもとに《輸出申告書》を作成します。
《輸出申告書》にインボイス、パッキングリスト等必要書類を添付して申告します。
審査が完了し、問題が無ければ《輸出申告許可書》が発行されます。
※《輸出許可書》は輸出者がインボイス等の輸出書類とともに5年間保存する必要があります。
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6.BL表記について
エジプト向けの中古建機の輸出は、一般的な輸出よりもBLに記載する項目が多いので注意が必要です。
Description of Goods欄に
- ACID number(19桁)
- EGYPTIAN IMPORTER TAX ID(ACIDの上9桁)
- FOREIGN EXPORTER REGISTRATION TYPE
(COMPANY REGISTRATION NUMBER or VAT NUMBERのどちらか) - FOREIGN EXPORTER ID(日本の法人番号13桁)
- FOREIGN EXPORTER COUNTRY(日本の英名表記:JAPAN)
- FOREIGN EXPORTER COUNTRY CODE(日本の2コード:JP)
これらを記載する必要があります。
7.まとめ
エジプト向けの中古建機の輸出は、一般的な輸出とはオペレーションが大きく異なります。
特に、輸出前の準備として「貨物情報の事前通告(ACIシステム)」については、日本の輸出者はもちろんのこと、エジプト側の輸入者も熟知していなければトラブルの元になります。
初回は確認で時間がかかることが予想されますので、輸出準備には余裕をもって取り掛かりましょう!
お問い合わせはこちら
些細なことでも構いません。
お気軽にお問い合わせください。


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