抹茶の輸出方法 航空貨物編(エジプト向け)

綺麗なグリーンの抹茶の画像

日本産抹茶は、エジプトのスペシャルティコーヒーショップ等で需要が急増しており、鮮度を保つための航空貨物(15〜70ケースの小口出荷)での輸出が主流となっています。

ここでは事前準備も含めて抹茶の輸出方法を解説していきます。

 1.はじめに 

日本産の抹茶(Matcha)は、アジアや欧米のみならず、中東・エジプトでも健康志向の高まりや高級カフェブームを背景に注目を集めています。

エジプトへの輸出手続きは他の国と比べて厳格かつ特殊なデジタル事前登録制度(ACI制度)が導入されています。

書類の不備や記載ミスがあると「貨物が船・飛行機に乗せられない」「海港・空港到着後に現地で通関できず留め置かれる」といった重大なトラブルに発展することがあります。

初めてカイロへ抹茶を輸出される荷主様がスムーズに出荷を行えるよう、具体的な流れと必須事項をまとめました。

 2.抹茶の輸出動向(エジプト向け) 

近年、カイロ市内を中心にスペシャルティコーヒーショップやモダンなカフェが急増しており、現地での抹茶ラテや抹茶スイーツの需要が拡大しています。

小口・高品質な航空貨物需要の増加: 鮮度や風味の維持が重視される高級抹茶は、エジプト航空(MS)などの直行便・経由便を利用した航空貨物(Air Freight)での輸送が多く見られます

多品種・小ロットでの出荷: 15〜70ケース(100kg〜数100kg規模)など、まずは現地テストマーケティングや店舗用の小口出荷からスタートする荷主様が増えています。

✍緑茶の輸出金額と輸出重量

■緑茶の輸出について


統計上、エジプトへの緑茶の輸出は2024年から始まり一年で大きく増加しています。

これらは「個包装」と「その他」を合わせた数値なので、それぞれの割合を確認しましょう。

■「個包装」と「その他」の輸出割合について


重量、金額共に「個包装」が割合が多いです。

エジプトへの緑茶輸出について参考になさってください。

 3.事前に確認すること 

✍貨物情報の事前通告(ACIシステム)

エジプト向け輸送で最も重要なのが、エジプト事前貨物情報制度(ACI: Advance Cargo Information)です。

この手続きを正しく理解していないと輸出できません。

このシステムは、エジプトでの手続き及び保管期間の短縮、貿易の促進、行政手続き電子化の促進、違法商品の輸入対策を目的に、2021年に導入されました。

エジプト国内の輸入者およびエジプトへの輸出者(海外企業)がそれぞれ共通のプラットフォーム上で申告・承認・作業をすることで上記の目的を遂行します。

運用手順

対応者 作業内容 書類作成者等
1 輸入者 Nafezaへの企業情報登録 エジプトの輸入者、または輸入手続き代行の通関業者が輸入者として企業情報をNafezaに登録し、ユーザー名とパスワードを取得する。
※2回目以降、登録不要
2 輸入者 電子署名(E-Token)の取得 ACIの電子手続きのため、電子署名(E-Token)を取得する。
現状、エジプト政府はMCDRとEgypt Trustの2社を電子署名登録業者として認証済。
3 輸入者 Nafezaでの貨物情報の申告 輸入ごとにNafezaに申告する。
1.貨物情報:Commercial invoice情報、船積み情報、数量、HSコードなど
2.輸出者情報:法人登録番号、会社名、商標、国籍、連絡先など
4 輸入者 ACID 番号発行依頼 Nafezaにて貨物情報、輸出者情報を電子申告し、ACID番号(毎回の輸入申告ごとに異なる番号)の発行を依頼する。
※ACID (Advance Cargo information Declaration)番号は19桁の識別番号
5 税関 貨物審査 税関にて貨物情報をもとに48時間以内に審査される。
危険物管理システムによる審査で、不許可となった際は理由が通知される。
例:輸入禁止品目、輸入禁止国の商品が含まれる(疑いがある)など。
6 税関 ACID番号の発行 貨物審査が許可された場合、税関で48時間以内にACID番号を発行し、輸入者、輸出者にEメールにて通知する。
番号は発行から6ヵ月間有効。
※通関手続きの必要書類へACID番号の記載が必要。記載がない場合、積み戻しの対象となる。
7 輸入者or輸出者 物流業者に通知 輸入者もしくは輸出者が、物流業者や運送(通関)代行業者に、ACID番号を通知する。
※物流業者等もACIDを書類に記載する必要があるため。
8 輸出者 CargoXへの企業情報登録 在外の輸出者用の申告システムCargoXへ企業情報(法人番号、国、社名、連絡先等)を登録。2回目以降登録不要。
<CargoX登録ページ>
9 輸出者 貨物・輸送情報、書類の電子申告 輸出者はCargoXにて輸出ごとに、貨物・輸送情報や手続き書類(Commercial invoice、Bill oflading (B/L) 等)を電子データで申告する。(手数料が課される)
※ACID番号記載が必要。NafezaとCargoXは連携。
10 物流運送業者 貨物リストを提出 物流・運送業者は、輸出港からの出航24時間以内に、貨物のリストをNafezaにて提出する。
確認通知が自動返信される。
11 輸入者 船積み書類を入手 輸入者または代行の通関業者は、Nafezaを介して受け取った通関手続き情報や書類を、Nafezaを通して税関へ電子申告する。
12 輸入者 貨物情報・書類の確認 輸入者(または輸入代行者)は電子署名(E-Token)にて、すべての書類に電子承認する。
13 輸入者 到着前通関申告 輸入者は、希望により、貨物到着前に通関手続きを申告することも可能(Form46を利用)。
税関は申告情報と書類を確認し、税金や関税の支払い等の通関手続きを貨物到着前に行う。
14 輸入者 到着後手続き・検査 輸入者は、貨物の到着後、通関手続きの申告を行う(上記のとおり事前申告も可能)。
税関や輸出入管理公社(GOEIC)等の関係当局による検査が実施される。
15 輸入者 承認後、受け取り 税関による通関手続き、当局の検査が承認されれば、手続きは終了。
輸入者または代行者(もしくは物流業者等)が貨物を受け取り、エジプト内の最終目的地へ輸送できるようになる。

ACI関連の問合せ先

  • エジプト国内の輸入者向けプラットフォーム:Nafeza
    ※MTS(Misr Technology Services)がNafezaを運用。
    参考情報:「Nafezaウェブ」「Nafeza FAQ」
  • エジプトへの輸出者(海外企業)向けシステム:CargoX
    問合せ先:support@cargox.io
    参考情報(英語): CargoXウェブ「Egypt ACI」、「User Manual」

 4.輸出に必要な書類 

輸出通関に必要な書類は以下のとおりです。

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
インコタームズ、商品名、個数、単価、金額、合計金額を記載。
【必須】全書類にACID番号、輸入者Tax ID、輸出者法人番号を明記。
パッキングリスト 輸出者が作成。
商品名、材質、個数、重量を記載。
【必須】ACID番号を明記。
MTS Notification
(ACID Number)
ACIシステムで輸入者が入手したACID Number
原産地証明書
(Certificate of Origin)
輸出者が作成(日本商工会議所等で発行)。
【必須】ACID番号を印字。
植物検疫証明書
(Phytosanitary Certificate)
輸出者が作成。
(農林水産省 植物検疫所が発行する証明書 ※原本必須)。

※インボイスとパッキングリストは情報が重複する部分が多いので「INVOICE&PACKING LIST」として内容を1枚に集約しても構いません。

※輸入国側が求める《産地証明書》や《放射線物質証明書》は、輸出通関時に税関へ提示することはありません。

❏インボイス・パッキングリストのサンプルを用意しました。

 5.輸出通関(植物検疫検査) 

抹茶は加工品ですが、エジプト向け輸出においては《植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)》の提出が求められます。

《植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)》は日本の植物防疫所で植物検疫申請を行うことで入手できます。

✍植物検疫の流れ

  1. 申請・確認: 輸出する抹茶の製造工程(加熱・微粉末化などの処理)に応じて、植物検疫所への事前申請を行います。
    (一定基準を満たす場合、リモート/書類による検査が可能なケースもあります)。
  2. 証明書の発行: 検疫合格後、《植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)》が発行されます。
  3. 原本の扱いとカラーコピー:
    日本の輸出通関手続きでは、《植物検疫証明書》の確認(またはカラーコピー)が必須です。
    エジプト現地での輸入通関には「証明書の原本」が必要です。
    原本は国際宅配便(DHL/FedEx等)で事前に現地へ郵送するか、AWB(航空運送状)にアタッチして送付します。

 6.輸出通関(税関申告) 

✍輸出HSコード ※2026年1月

■緑茶(粉末状):0902.10-100
(発酵していないもので、正味重量が3キログラム以下の直接包装にしたものに限る。)

■緑茶(その他の形状):0902.10-900
(発酵していないもので、正味重量が3キログラム以下の直接包装にしたものに限る。)

■その他の緑茶(粉末状):0902.20-100
(発酵していないもの)

■その他の緑茶(その他の形状):0902.20-900
(発酵していないもの)

✍税関へ申告

インボイス・パッキングリストをもとに《輸出申告書》を作成します。

《輸出申告書》にインボイス、パッキングリスト等必要書類を添付して申告します。

審査が完了し、問題が無ければ《輸出申告許可書》が発行されます。

※《輸出許可書》は輸出者がインボイス等の輸出書類とともに5年間保存する必要があります。

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 7.まとめ 

エジプトへの抹茶輸出は、現地の健康志向や高級カフェブームを背景に、大きなビジネスチャンスとなっています。

しかし、他国への輸出とは大きく異なり、厳格なACI制度(事前貨物情報制度)への対応が最大の関門となります。

スムーズな輸出を成功させるための重要ポイントは以下の3点です。

  • Nafeza(輸入者)とCargoX(輸出者)を用いた正確なデジタル事前申告
  • すべての通関書類(インボイス、パッキングリスト等)への「ACID番号」の確実な記載
  • エジプト現地での通関で必須となる《植物検疫証明書》の原本」の適切な手配

これらの手続きに不備があると、貨物の積み戻しや現地での留め置きといった重大なトラブルに発展する恐れがあります。

裏を返せば、この特殊なルールさえ正確にクリアできれば、エジプト市場へのスムーズな展開が可能です。

初めての輸出や複雑なデジタル手続きに不安がある場合は、専門知識を持つ通関業者を活用し、安心かつ確実な出荷体制を整えることが成功への近道です。

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