日本酒の輸出方法

日本酒をグラスに注いでいる

※このページは日本酒の輸出にチャレンジしている方々に最適のページです。

近年の海外における日本食ブームにより日本産のお酒も注目を浴び、毎年右肩上がりで需要が高まっています。

輸出金額は10年連続で過去最高を記録し2021年の輸出金額は約1,147億円(対前年61.4%増)となり、初めて1,000億円を突破しました。

今回はそんな大注目の日本産酒類の輸出方法について解説していきます。

 1.輸出入酒類卸売業免許 

日本酒を輸出するためには「輸出入酒類卸売業免許」が必要です。

免許取得が日本酒輸出の作業の中で一番ハードルが高いかもしれません。

免許取得の為には人的要件、場所的要件、経営基礎要件など国税庁の定める一定の要件を満たさなければなりません。

尚、酒類販売業免許の交付申請に係る料金として登録免許税(卸売業の場合)9万円が必要となり、税務署への申請から免許の取得までに掛かる期間は約2ヵ月とされています。

〇国税庁:種類の免許

〇国税庁:申請様式

〇酒類卸売業免許の申請等の手引き

 2.事前確認 

相手国により輸入する規制が異なり酒類の輸入許可や輸入ライセンスが必要となる場合があります。

そのため、現地で通関を行うにあたりどのような書類が必要となり、どのような点に注意すべきか輸入者に対して事前に確認しておく必要があります。

日本側での検査証明書の要否や商品に添付する表示ラベルなども注意するポイントとなります。

相手国から提出を求められる書類として下記のようなものがあります。

  • 原産地証明書
  • 衛生証明書
  • 商品規格書
  • 成分表等

国税庁から国ごとの日本酒輸出ハンドブックが整備されています→こちら

 3.輸出通関 

✍輸出通関に必要な書類

輸出通関に必要な書類は以下のとおりです。

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、フォワダー(通関会社)が発行。AWBとも言う。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、フォワダー(通関会社)が発行。

必要に応じて用意する書類は以下の通りです。
※相手国側に求められたり、免税で必要な書類になります。

書類名 書類作成者等
原産地証明書 商工会議所にて取得。パッキングリストを商工会議所に提出。
衛生証明書 商工会議所にて取得。
商品規格書 輸出者・生産者が作成
成分表 輸出者・生産者が作成
輸出免税酒類証明書 酒税の免税に必要。令和2年4月1日から簡素化されました。
詳しくは事項で解説します。

✍酒税の輸出免税について

酒税は原則として、酒類が製造場から移出された時に課税原因が発生します。
しかし酒類製造者が外国に輸出する目的で酒類をその製造場から移出する場合には、例外として、酒税が免除されます。

e-gov酒税法

この輸出免税の適用を受けるための手続は、次のとおりです。

  1. 酒類の移出を行った酒類製造者が、その酒類に係る《酒税納税申告書(*1)》に、輸出免税の適用を受けようとする酒類の税率の適用区分及びその区分ごとの数量を記載すること。
    *1:期限内申告書に限ります。
  2. 《輸出許可証等(*2)》に基づいて、以下の必要記載事項を帳簿に記載すること。
    ただし、《輸出許可証等》に必要記載事項が記載されている場合には、その《輸出許可証等》を保管していれば、別途、帳簿に記載する必要はありません。
  • その酒類の税率の適用区分及びその区分ごとの数量
  • 輸出の年月日及び仕向地
  • 輸出港の所轄税関
  • その酒類の輸出をした者が、その酒類の製造者以外の者であるときは、その輸出をした者の住所及び氏名又は名称
  • その他参考となるべき事項

*2:《輸出許可証等》とは次の書類のいずれかをいいます。

  • 酒類が輸出のため外国航路(外国航空路)に就航する船舶(航空機)に積み込まれたことを輸出港の所轄税関長が証明した書類
  • 酒類の輸出を許可した税関長がその書類に基づいて証明した書類
  • 輸出された酒類が外国に陸揚げされたことを証明した書類

令和2年3月31日以前は、輸出免税の適用を受けるためには、1.の要件に加え、《輸出申告書》の付表に基づき作成した《輸出免税酒類輸出明細書》を《酒税納税申告書》に添付する必要がありました。

現在は、上記2.のとおり、《輸出許可証等》に基づき必要記載事項を帳簿に記載していれば、《輸出免税酒類輸出明細書》を作成する必要はありません。

また、《輸出許可証等》に記載されているインボイス番号を必要記載事項とともに帳簿等に記帳することにより、2.の要件を満たすこととしており、この場合には、「輸出申告書の付表」の作成も不要となります。

例えば、酒類製造者が輸出免税の適用を受けて輸出する場合、輸出業者が作成したインボイス番号を連絡するための書類を、必要記載事項を記帳した帳簿に併せて保存するような方法も認められます。

手続きについての詳しい説明やフォーマットはこちら

✍輸出通関書類の作成

上記の書類をもとに輸出通関申告書を作成します。

✍税関へ申告

《輸出通関申告書》に必要書類を添付して税関に申告します。

審査が完了し、問題が無ければ《輸出申告許可書》が発行されます。

以上で手続きは完了です。

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 4.輸送について 

日本酒はデリケートな商品です。

輸送中の保冷について解説します。

✍航空輸送の場合

航空輸送の場合、輸送形態は「KEEP COOL」を選定します。

KEEP COOLは航空会社が空港に保有している冷蔵庫を使用し、温度管理をする輸送形態です。

❏メリット

  • 輸送スピードが早い。
  • スピードが早いのでキャッシュフローに優れている。
  • 少量(海上コンテナを満たせない量)輸送に適している。

❏デメリット

  • 1本あたりの運賃が海上輸送に比べて高い。
  • 飛行中は常温になる。
    ※フライト直前まで空港の冷蔵庫に蔵置。飛行機搭載後は常温となる。到着地では再び冷蔵庫に蔵置される。
  • 「KEEP COOL」の場合、航空会社の選択肢が少なくなる。
    経由便を使用する際には、経由空港に冷蔵庫が必要。そのため、経由地に冷蔵庫を確保できない航空会社は使用できない。
    ※直行便は到着地に冷蔵施設があれば問題ない。

✍海上輸送の場合

リーファーコンテナを使用します。

❏メリット

  • 物量が集まれば、航空輸送に比べて1本あたりの運賃が安くなる。
  • リーファーコンテナを使用することで完全に保冷輸送ができる。鮮度が維持できる。

❏デメリット

  • 輸送スピードが遅い。
  • スピードが遅いのでキャッシュフローが悪い。
  • コンテナを満たせるほどの物量がないと、1本あたりの運賃が安くならない。

✍輸送とアルコール度数について

航空輸送、海上輸送において、危険物対象となる物は輸送出来ないのでご注意下さい。

※度数70度超は危険物対象となります。

アルコール度数
輸送形態 容器当たりの容量 24度以下 24~70度まで 71度以上
航空輸送 5L超
5L以下
海上輸送 5L超
5L以下

航空輸送と海上輸送はそれぞれメリットとデメリットがありますので、最適な輸送を選択することが重要です。

 5.まとめ 

日本酒は、日本の主要輸出産品ですので、今後増えていくことをアクセス・ジャパンも期待しています。

酒類販売免許、日本酒の仕入れ、ハラル国(アルコール禁止の国)、物量の確保など、クリアしなければならない条件は多々あります。

その分、参入障壁の高いビジネスですので、チャレンジする価値はあるのではないでしょうか。

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