スーパーフード【アボカド(生)】の輸入方法

アボカドの画像

アボカド(生)の輸入は農林水産省、厚生労働省の複数省庁の許可が必要になる、若干ハードルの高い商材です。

事前に確認することなど、注意点は多岐にわたりますので、アボカド(生)の輸入を検討している方はまずはこのページをよく読んでください。

 1.スーパーフードについて 

最近は、日本で「スーパーフード」という言葉を多く耳にします。

スーパーフードの始まりは1980年代頃のアメリカやカナダで、有効成分を突出して多く含んでいる食品に対し「スーパーフード」という言葉が使われたそうです。

日本では、日本スーパーフード協会が以下のように定義づけています。

  1. 栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高いこと。あるいは、ある一部の栄養・健康成分が突出して多く含まれる食品のこと。
  2. 一般的な食品とサプリメントの中間にくるような存在で、料理の食材としての用途と健康食品としての用途をあわせもつこと。

この2項目を満たしている食品をスーパーフードと呼びます。

今回は、多くの人から人気のある「スーパーフード【アボカド(生)】の輸入方法」について解説します。

 2.アボカドについて 

アボカド(生)にはビタミン、ミネラル、葉酸など様々な栄養素が含まれていることからスーパーフードと呼ばれています。

不飽和脂肪酸を多く含んでおり積極的に摂取する必要がある栄養素を多く含んでいます。
(※不飽和脂肪酸とは体内で生産できない良質な脂質で、食事からしか摂取できません。)

また、健康にはもちろん美容にも良いとされており、とても人気の食べ物です。

日本で販売されているアボカドの99%が輸入で、主にメキシコ、ペルー等から輸入されています。

日本に輸入されるアボカド(生)は「ハス種」と呼ばれる品種です。

「ハス種」は未熟状態では皮が硬く、ミバエなどの害虫被害を受けないため、輸入が可能な品種です。

 3.近年の輸入動向 

✍輸入アボカド(全量)の金額と重量

2022年に主要輸入元であるメキシコで不作だったことで輸入金額・重量ともに減少していますが、総じて安定した輸入が行われているようです。

メキシコからの輸入がどれほど多く、他の産地からの輸入がどのように伸びているかについては以下の表やグラフを参考にしてください。

✍輸入アボカドの国別比率(金額、重量)

金額、重量ともに圧倒的1位であるメキシコと、2位のペルーからの輸入がほぼ全量を占めていることが分かります。

そうは言っても3位のオーストラリアは全体から見れば僅かではありますが輸入が増えてきています。

以下、メキシコ、ペルー、オーストラリアの三カ国に絞って見ていきます。

✍輸入アボカド(メキシコ)の金額と重量

2022年は不作であったため輸入金額、輸入重量共に大きく減りましたが、生産量世界一のメキシコは基本的に安定した輸入元と言えます。

高い水準での品質管理がなされているメキシコ産のアボカドは今後も市場の多くの部分を占めると思われます。

✍輸入アボカド(ペルー)の金額と重量

ペルーは国内市場向けのアボカド生産が盛んでしたが、輸出用のハス種の生産が増えるにつれ日本での輸入金額、輸入重量は順調に増加しています。

ペルー産はアボカド市場全体の中でも輸出の成長率が高く日本の市場でも存在感を増していくかもしれません。

✍輸入アボカド(オーストラリア)の金額と重量

オーストラリア産のアボカドは2018年に日本への輸入が解禁になって以降、急激に輸入が増えています。

日本のアボカド輸入全体から見れば微々たるものですが、今後の動向が気になるところです。

 4.輸入する際の注意点 

アボカド(生)は植物なので、輸入時に「植物検疫検査」を受ける必要があります。

また食品でもあるため、輸入時に「食品等輸入届出」が必要になります。

さらに輸送温度の管理など注意することがたくさんあります。

  • 植物検疫検査・・・【6.輸入通関「植物検疫検査」】で解説します
  • 食品等輸入届出・・【7.輸入通関「食品等輸入届出」】で解説します
  • 輸送温度の管理・・【9.アボカドの輸送形態について】で解説します

 5.輸入に必要な書類 

一連の手続きに必要な書類は次のとおりです。

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。AWBとも言う。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
ARRIVAL NOTICE 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。
PHYTOSANITARY CERTIFICATE 輸出国の政府機関が発行。原本が必要。
植物検査合格証明書 日本の農水省植物防疫所が発行。
食品等輸入届出済証 日本の厚労省食品監視課が発行。

 6.輸入通関「植物検疫検査」 

アボカド(生)は植物なので、輸入の際に植物検疫検査を受ける必要があります。

✍産地国ごとの輸入条件

アボカド(生)は植物検疫を受けるための条件があります。

国ごとに条件が違いますので、代表的産地国の条件を解説します。

❏メキシコ産

次のいずれかに該当する場合は輸入できません。

  • チアパス州で生産されたもの(*1)。
  • 輸入禁止対象害虫(*2)が発生している地域で生産されているもの。
  • 輸入禁止対象害虫(*2)が発生している地域を経由して輸入する場合(*3)。

*1:輸入禁止対象害虫であるチチュウカイミバエが発生している為
*2:チチュウカイミバエ、ミカンコミバエ、ウリミバエなどミバエ類
*3:メキシコから直行便であれば問題ありません。

なお、輸入する場合には《PHYTOSANITARY CERTIFICATE(検査証明書)》に次の記載が必要です。

  • 産地州名
  • 「チアパス州以外の州において生産されたもの」という文言

❏ペルー産

次の2項目を満たすことを条件に平成27年に輸入解禁になりました。

  • 「ハス種」であること
  • 成熟していないこと

❏オーストラリア産

次の条件を満たすことで輸入可能になります。

  • オーストラリア植物防疫機関が指定した園地(*1)で生産され、指定された梱包施設で梱包されたハス種の未成熟アボカドであること(*2)。
  • 輸出中及び積込時の措置として次の条件を満たしていること。
    1:箱の通気孔に網(*3)が貼られている梱包であること
    2:梱包または束ねた梱包全体が網(*3)で覆われていること
  • 輸出植物検疫が終了している旨の表示及び仕向地が日本である旨の表示がされていること(*4)。
    1:輸出植物検疫終了の表示は次のように行います
     PLANT QUARANTINE AUSTRALIA
     ※コンテナの封印に表示する場合は「Australian Government
    2:仕向地の表示は次のように行います
     EXPORTED HASS AVOCADO FOR JAPAN

*1:チチュウカイミバエ、クインスランドミバエ等が発生している地域での生産またはその地域を経由しての輸入は禁止されています。
*2:証明書には未成熟のアボカドであることが記載されている必要があります。
*3:網の目の大きさは1.6ミリメートル以下であること
*4:梱包の側面等見やすい箇所に容易に視認できる大きさで表示されていること

✍植物検疫検査に必要な書類

書類名 書類作成者等
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。AWBとも言う。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
PHYTOSANITARY CERTIFICATE 輸出国の政府機関が発行。原本が必要。

✍植物検疫検査の流れ

  1. 貨物到着
  2. 《植物検疫申請書》を作成
  3. 《パッキングリスト》《PHYTOSANITARY CERTIFICATE(※必要な場合)》 を《植物検疫申請書》に添付して植物防疫所に申請
  4. 輸入貨物を保税蔵置場に搬入後、輸入貨物の一部を植物防疫所検査場に移動
    ※保税蔵置所から検査場に移動させる際には保税運送の手続きをします。
  5. 植防官による現物検査(害虫や害虫の卵が付着していないかを検査します)
  6. 検査合格の場合 :《植物検査合格証明書》が発行され、税関申告時に合わせて提出します。
    検査不合格の場合:燻蒸処理をし、害虫や害虫の卵が死滅したのちに、《植物検査合格証明書》が発行されます。
    ※滅却をして、輸入しない場合は滅却承認申請を税関に提出します。
  7. 植防官の検査が終了したら、輸入貨物は保税蔵置場のもとの場所に戻します。

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 7.輸入通関「食品等輸入届出」 

アボカド(生)は食品なので、厚労省の食品監視課に「食品等輸入届出」の申請が必要となります。

✍食品等輸入届出の申請に必要な書類

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。

今回紹介している国(メキシコ、ペルー、オーストラリア)は上記の書類のみで問題ありませんが、他国の場合は追加で条件(証明書等)が付く可能性がありますので輸入前に必ず確認しましょう。

✍申請の流れ

貨物到着前に、上記の書類をもとに《食品等輸入届出書》を作成し、準備をします。

貨物到着後、食品監視課に申請をします。

審査に合格すると《食品等輸入届出済証》が発行されます。

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 8.輸入通関「税関申告」 

✍HSコード・関税 ※2023年4月

❏アボカド(生):0804.40-0100

  • 基本:6%
  • WTO協定:3%
  • 特恵GSP:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    以下全て:FREE
     シンガポール・メキシコ・マレーシア・チリ・タイ
     インドネシア・ブルネイ・ASEAN・フィリピン・スイス
     ベトナム・インド・ペルー・豪州・モンゴル・TPP11(CPTPP)
     EU・英国・RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド・中国・韓国)
  • 日米貿易協定:適用なし

✍輸入申告に必要な書類

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。AWBとも言う。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
ARRIVAL NOTICE 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。
植物検疫検査合格証明書 日本の農水省植物防疫所が発行。
食品等輸入届出済証 日本の厚労省食品監視課が発行。

上記の書類をもとに《輸入申告書》を作成し、必要書類を添付して税関に申告します。

審査が終了し輸入関税・消費税を納税すると輸入許可となり貨物を引き取ることができます。

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 9.アボカド(生)の輸送形態について 

アボカド(生)の主な産地はアメリカ大陸であり、日本までの輸送距離は非常に長く、また時間もかかります。

そのため、品質保持を意識した輸送が必要になります。

アボカド(生)は未熟状態で収穫し追熟させて食しますが、追熟ガスを自ら発生させるため、密閉状態では追熟が早まる特徴があります。

追熟を抑え、長距離輸送を実現するためには保冷状態で運ぶなどの工夫が必要になります。

✍航空輸送の場合

アボカド(生)は海上輸送が基本ですが、あえて航空輸送する場合は、下記の点に留意しましょう。

  • 輸送運賃が高い。物量が多くなればキロ単価が安くなりますので、なるべく物量を大きくしましょう。
  • 「温度管理あり(Keep Cool)」で手配しましょう。
    輸出空港搬入時に冷蔵庫に蔵置されます。
    航空機内では常温になります。※1
    経由便の場合、経由地では冷蔵庫に蔵置されます。
    到着空港では冷蔵庫に搬入、蔵置されます。
    ※1:航空機内での保冷のために、発泡スチロールや保冷剤などで保冷状態を維持します。
  • 海上コンテナとは違い、貨物の積み降ろしが複数回発生し、その都度温度変化にさらされます。
    できる限り輸送時間を短くし、日本到着後は速やかに通関、引取をしましょう。

✍海上輸送の場合

アボカド(生)は主に海上コンテナで輸送されており、下記の特徴があります。

  • リーファーコンテナを使用することで保管温度を一定に保つことが出来ます。
  • CA(Controlled Atmosphere)ユニットを使用することで酸素濃度を調整し、アボカドの追熟を抑制、保存期間の延長が可能になりました。
  • 南米からは2~4週間かけて輸送されます。
  • 航空輸送に比べてコストは安くなりますが、酸素濃度や保冷温度は慎重に設定しなければ、輸送機関が長い分、大きなロスに繋がるリスクがあります。

 10.まとめ 

アボカドは日本のみならず、世界中で需要が増えています。

そのため、生産量が年々増加していますが、アボカド畑にするために森林を伐採したり、水質汚染などの問題が表面化したり、環境問題への意識の高まりもあり、増産にブレーキが掛かっています。

そんな中、日本国内でもわずかながら生産されていますので、輸出を検討するのも良いかもしれません。

今回は、アボカド(生)の輸入に関して解説をしましたが、現状ではスーパーなどで100円~200円で販売されていることを考えると、大量仕入れが前提になります。

新規の参入は資金的に少しハードルが高いように感じます。

そのため、冷凍アボカドやアボカドピューレ、アボカドオイルなどの付加価値をつけた加工品に注目するのも良いかもしれません。

輸入しようとする方はお気軽にお問い合わせください。

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