スーパーフード【アーモンド】の輸入方法

アーモンドの画像

アーモンドは[食用の生]と[食用のロースト]、[非食用の生]に分類でき、それぞれ輸入時の対応が異なります。

食用に関しては厚生労働省食品監視課に届け出をし、生のものは農林水産省植物防疫所で検査を受ける必要があります。

このページを読めば、事前確認や検査方法、進め方などが理解できるようになりますので、アーモンド輸入にチャレンジする方は必見です!

 1.スーパーフードについて 

最近は、日本で「スーパーフード」という言葉を多く耳にします。

スーパーフードの始まりは1980年代頃のアメリカやカナダで、有効成分が突出して多く含まれている食品に対し「スーパーフード」という言葉が使われたそうです。

日本では、日本スーパーフード協会が次のように定義づけています。

  1. 栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高いこと。あるいは、ある一部の栄養・健康成分が突出して多く含まれる食品のこと。
  2. 一般的な食品とサプリメントの中間にくるような存在で、料理の食材としての用途と健康食品としての用途をあわせもつ。

以上、2項目を満たしている食品をスーパーフードとよびます。

今回は、様々な人々から人気のある「スーパーフード【アーモンド】の輸入方法」について解説します。

 2.アーモンドについて 

アーモンドは脂質が多く太りやすい食べ物と思われがちですが、アーモンドの脂質は不飽和脂肪酸がほとんで積極的にとらなくてはいけない脂質です。

また、アーモンドは大別すると[スイート]と[ビター]の2種類が存在します。

[スイート]:普段食べられている食用のアーモンドのことです。

[ビター]:食用ではなく主に、アーモンドの成分が必要な薬やオイルなどの商品に使用されます。

また食用の[スイート]については、[生]もしくは[ロースト]の状態で輸入されることが一般的です。

冒頭で[食用の生][食用のロースト][非食用の生]に分類できると書きましたが、以降は[スイート・生][スイート・ロースト]、[ビター・生]と記して解説します。

 3.近年の輸入動向 

アーモンドは[スイート]と[ビター]に大別されるのは前述のとおりですが、輸入貨物に限定してみると[ビター]はほとんど輸入されていません。

過去10年において[ビター]が輸入された記録があるのは2018年と2022年の2年のみであり、物量も[スイート]に比べると極僅かです。

そのため近年の輸入動向については[スイート・生(殻なし)]、[スイート・生(殻付き)]、[スイート・ロースト]に絞って解説します。

✍輸入アーモンド全体の比率(金額、重量)

金額、重量ともに[生・殻なし]がほぼ全量を占めていることが分かります。

[生・殻付き]や[ロースト]はほとんど存在感がないので、以下、[生・殻なし]に絞って見ていきます。

✍アーモンド[生・殻なし]の輸入国別比率(金額、重量)

金額、重量ともにアメリカがほぼ全量を占めていることが分かります。

なお、アメリカは対日本だけでなく世界全体での生産量も圧倒的に1位です。

そのため、通常の輸入仕入れを考えればアメリカを選択するのが妥当かと思いますが、天候不順などにより不作であった場合を考えると他の国にも目を向けておいた方が良いかもしれません。

その場合に着目すべきは世界における生産量においてもアメリカについで2位のスペインだと思います。

✍輸入アーモンド(スペイン)の金額と重量

アメリカに比べ生産量は少ないものの、近年では増産されているようです。

また、スペインではアメリカとは異なる品種を生産しているためかキロ単価が高い特徴があります。

スペインとアメリカの単価の違いは次の表・グラフのとおりです。スペインの方が単価が高いことが見て取れます。

 4.輸入する際の注意点 

アーモンドは輸入する種類や状態によって法令の取り扱いが変わるので注意が必要です。

食用の場合は食品衛生法に基づく食品等輸入届出が必要ですが、非食用の場合は不要です。

また、生の状態の場合は植物防疫法に基づく植物検疫検査が必要ですが、ローストしてあれば不要です。

それぞれクリアすべき手続きは次のとおりです。

植物検疫検査 食品等輸入届出
スイート・生
スイート・ロースト 不要
ビター・生 不要

輸入するアーモンドがどのような用途・仕様になっているか確認して進めましょう。

 5.輸入に必要な書類 

輸入手続きに必要な書類は以下のとおりです。

書類名 アーモンド種類 書類作成者等
製造工程表 スイート・ロースト 製造工場が作成(※)。
原材料表 スイート・ロースト 製造工場が作成(※)。
インボイス 全種類 輸出者が作成。
パッキングリスト 全種類 輸出者が作成。
AIR WAYBILL
(AWB)
全種類 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。
SEA WAYBILL 全種類 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
ARRIVAL NOTICE 全種類 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。
食品等輸入届出済証 スイート・生
スイート・ロースト
日本の厚労省食品監視課が発行。

※《製造工程表》及び《原材料表》は、製造工場の情報を元に輸入者が作成しても良いです。

 書類の修正などが発生した場合、現地工場に修正を求めるよりも、輸入者自身で作成した方がスムーズに進む場合があります。

 6.輸入通関「植物検疫検査」 

✍検査対象品種

[生]のアーモンドには虫が付着している可能性があるため、検査の対象になります。

[生]であれば[スイート]も[ビター]も検査対象です。

✍植物検疫検査に必要な書類

書類名 書類作成者等
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。AWBとも言う。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。

※アーモンドの植物検疫検査には、PHYTOSANITARY CERTIFICATEは不要です。

※[スイート・ロースト]は植物検疫検査は不要ですが、貨物に[ロースト]であることが分かる表示が必要です。
 表示がない場合は、《製造工程表》で確認することになります。

✍植物検疫検査の流れ

  1. 貨物到着
  2. 《植物検疫申請書》を作成
  3. パッキングリストを《植物検疫申請書》に添付して植物防疫所に申請
  4. 輸入貨物を保税蔵置場に搬入後、輸入貨物の一部を植物防疫所検査場に移動
    ※保税蔵置所から検査場に移動させる際には保税運送の手続きをします。
  5. 植防官による現物検査(害虫や害虫の卵が付着していないかを検査します)
  6. 検査合格の場合 :《植物検査合格証明書》が発行され、税関申告時に合わせて提出します。
    検査不合格の場合:燻蒸処理をし、害虫や害虫の卵が死滅したのちに、《植物検査合格証明書》が発行されます。
    ※滅却をして、輸入しない場合は滅却承認申請を税関に提出します。
  7. 植防官の検査が終了したら、輸入貨物は保税蔵置場のもとの場所に戻します。

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 7.輸入通関「食品等輸入届出」 

✍食品等輸入届出対象品種

  • [スイート・生]
  • [スイート・ロースト]

※食用のアーモンドは厚労省の食品監視課に「食品等輸入届出」の申請が必要となります。

✍食品等輸入届出の申請に必要な書類

書類名 アーモンド種類 書類作成者等
製造工程表 スイート・ロースト 製造工場が作成(※)。
原材料表 スイート・ロースト 製造工場が作成(※)。
インボイス スイート・生
スイート・ロースト
輸出者が作成。
パッキングリスト スイート・生
スイート・ロースト
輸出者が作成。

✍命令検査

アーモンドは輸入の際に必ず検査機関で分析検査を受け、合格(基準値以下)をすれば輸入することができます。

検査の理由は総アフラトキシンが10μg/kgを超えて付着しているおそれがあるためです。

■検査項目

総アフラトキシン(※)10μg/kg以下
※アフラトキシンB1、B2、G1及びG2の総和

■採取量

採取量はパッケージ形態によって変わります。

①食品1粒重量が0.1g以下及び粉末状食品の場合

A.袋づめで内容量がおおむね20kg以上のもの

袋/ロット サンプル数
(袋数✕set)
採取量 検体数
0~280 32(32 × 1set) 1kg(1kg × 1set) 1
281~500 50(50 × 1set)
501~1,200 80(80 × 1set)
1,201~3,200 130(65 × 2set) 2kg(1kg × 2set) 2
3,201以上 210(70 × 3set) 3kg(1kg × 3set) 3

B.缶入り又はカートン入りで内容量4.5kg以上のもの

缶/ロット or
カートン/ロット
サンプル数
(缶数orカートン数✕set)
採取量 検体数
0~50 2(2 × 1set) 1kg(1kg × 1set) 1
51~500 4(2 × 2set) 2kg(0.5kg × 2 × 2set) 2
501以上 6(2 × 3set) 3kg(0.5kg × 2 × 3set) 3

C.小型容器包装に入れられたもの(A又はB以外のもの)

缶/ロット or
カートン/ロット
サンプル数
(缶数orカートン数✕set)
採取量 検体数
0~50 2(2 × 1set) 1サンプルの最小採取単位は150gとし、150g未満のものにあっては必要量をあつめてこれを1サンプルとする。 1
51~500 3(3 × 1set)
501~3,200 6(3 × 2set) 2
3,201以上 9(3 × 3set) 3
②食品1粒重量が0.1gを超える場合

A.袋づめで内容量がおおむね20kg以上のもの

袋/ロット サンプル数
(袋数✕set)
採取量 検体数
0~280 32(32 × 1set) 5kg(5kg × 1set) 1
281~500 50(50 × 1set)
501~1,200 80(80 × 1set)
1,201~3,200 130(65 × 2set) 10kg(5kg × 2set) 2
3,201以上 210(70 × 3set) 15kg(5kg × 3set) 3

B.缶入り又はカートン入りで内容量4.5kg以上のもの

缶/ロット or
カートン/ロット
サンプル数
(缶数orカートン数✕set)
採取量 検体数
0~50 2(2 × 1set) 5kg(5kg × 1set) 1
51~500 4(2 × 2set) 10kg(2.5kg × 2 × 2set) 2
501以上 6(2 × 3set) 15kg(2.5kg × 2 × 3set) 3

C.小型容器包装に入れられたもの(A又はB以外のもの)

缶/ロット or
カートン/ロット
サンプル数
(缶数orカートン数✕set)
採取量 検体数
0~50 2(2 × 1set) 1サンプルの最小採取単位は150gとし、150g未満のものにあっては必要量をあつめてこれを1サンプルとする。

1

51~500 3(3 × 1set)
501~3,200 6(3 × 2set) 2
3,201以上 9(3 × 3set) 3

包装形態で採取量が変わりますので、アクセス・ジャパンでは都度確認をおすすめしています。

✍申請の流れ

  1. 上記必要書類をもとに《食品等輸入届出書》を作成。
  2. 輸入する港の管轄の厚労省食品監視課へ、原材料表と製造工程表(ローストの場合)を添付して申請。
  3. 審査後に問題がなければ《食品等輸入届出済証》が発行されます。

 8.輸入通関「税関申告」 

✍HSコード・関税

❏スイート・生 ※殻つき :0802.11-200 関税率▼

  • 基本:4%
  • WTO協定:2.4%
  • 特別特恵LDC:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    メキシコ:適用なし
    以下すべて:FREE
     シンガポール・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア・ブルネイ・ASEAN
     フィリピン・スイス・ベトナム・インド・ペルー・豪州・モンゴル・TPP11(CPTPP)
     EU・英国・RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド・中国・韓国)
  • 日米貿易協定:FREE

❏スイート・生 ※殻なし :0802.12-200 関税率▼

  • 基本:4%
  • WTO協定:2.4%
  • 特別特恵LDC:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    メキシコ:適用なし
    以下すべて:FREE
     シンガポール・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア・ブルネイ・ASEAN
     フィリピン・スイス・ベトナム・インド・ペルー・豪州・モンゴル・TPP11(CPTPP)
     EU・英国・RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド・中国・韓国)
  • 日米貿易協定:FREE

❏スイート・ロースト :2008.19-222 関税率▼

  • 基本:8%
  • WTO協定:5%
  • 特恵GSP:2.5%
  • 特別特恵LDC:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    メキシコ:適用なし
    RCEP(*1):3.6%
    以下すべて:FREE
     シンガポール・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア・ブルネイ
     ASEAN・フィリピン・スイス・ベトナム・インド・ペルー・豪州
     モンゴル・TPP11(CPTPP)・EU・英国
  • 日米貿易協定:FREE

*1:ASEAN・豪州・ニュージーランド・中国・韓国

❏ビター・生 ※殻つき :0802.11-100 関税率▼

  • 基本:FREE
  • WTO協定:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    以下すべて:FREE
     シンガポール・メキシコ・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア
     ブルネイ・ASEAN・フィリピン・スイス・ベトナム・インド
     ペルー・豪州・モンゴル・TPP11(CPTPP)・EU・英国
     RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド・中国・韓国)
  • 日米貿易協定:適用なし

❏ビター・生 ※殻なし :0802.12-100 関税率▼

  • 基本:FREE
  • WTO協定:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    以下すべて:FREE
     シンガポール・メキシコ・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア
     ブルネイ・ASEAN・フィリピン・スイス・ベトナム・インド
     ペルー・豪州・モンゴル・TPP11(CPTPP)・EU・英国
     RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド・中国・韓国)
  • 日米貿易協定:適用なし

✍輸入通関に必要な書類

書類名 書類作成者等
製造工程表 製造工場が作成(※)。
原材料表 製造工場が作成(※)。
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL(AWB) 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
ARRIVAL NOTICE 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。
食品等輸入届出済証 日本の厚労省食品監視課が発行。

※製造工程表及び原材料表は、製造工場の情報を元に輸入者が作成しても良いです。

✍輸入申告

上記の「必要書類」をもとに《輸入申告書》を作成し、必要書類を添付して税関に申告します。

審査が終了し輸入関税・消費税を納税すると輸入許可となり貨物を引き取ることができます。

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 9.まとめ 

アーモンドは種類によっては「植物検疫検査(農林水産省)」と「食品当輸入届出(厚生労働省)」の2つの省庁に申請をしなければならず、若干ハードルの高い商材です。

スムーズに輸入するには、全体像を把握し、漏れ無く申請を行う必要があります。

通関業者を選定する際には「植物検疫検査(農林水産省)」と「食品当輸入届出(厚生労働省)」に対応していることを確認しましょう。

また、輸送コストは商品原価の大きな要素です。

そのため最適な輸送形態を選択することも重要になりますので、複数の輸送提案ができる通関業者・フォワダーとパートナーを組むことも重要です。

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