メープルシロップの輸入方法

小皿の上でスプーンにメープルシロップを注いでいる画像

独特の風味と豊富なミネラル、ポリフェノールをはじめとした抗酸化物質を含みつつも砂糖やはちみつよりもカロリーが低く、人気のあるメープルシロップ。

日本でも確固たる地位を築いていると言えますが、輸入に際しては気をつけることもあります。

そんなメープルシロップの輸入方法について解説しています。

メープルシロップの輸入を考えている方は必見です。

 1.メープルシロップについて 

メープルシロップ は、サトウカエデなどの樹液を濃縮した甘味料です。

甘みとともに香ってくる独特の風味が特徴的であり、ホットケーキやワッフルにかけたり、菓子の原料として用いられます。

国旗にも使われているようにカナダの名産品として有名で、世界生産8割を占めています。

その歴史は古く、アメリカ先住民によって先史時代から既に製造されていました。

近代においては日本でも生産されています。

 2.近年の輸入動向 

以下、表とグラフはタップ・クリックすると拡大表示されます。

✍メープルシロップの輸入金額と輸入重量


2021年の輸入量の増加はコロナ禍の巣ごもり需要に応えるものだと思いますが、全体的に10年間に渡って安定した輸入量を維持しているように見えます。

これに対して輸入金額は2020年以降伸びていますが、2020年の年間平均為替レートが106.76円/ドルで2024年の年間平均為替レートが151.69円/ドルであったことを考えると
概ね為替の影響によるものと考えて良いかもしれません。

続いて輸入国割合を見てみます。

✍メープルシロップの輸入国別割合(金額、重量)


金額、重量共にほぼカナダです。

カナダはメープルシロップの世界最大の産地であり、生産管理に関する法律等により厳しい品質基準が設けられています。

アメリカ合衆国も品質基準はあるもののカナダほどの厳しさはなく、風味もカナダ産のものと異なるようです。

どの観点からもカナダが圧倒的に強そうなメープルシロップですが、ここでキロ単価を確認してみます。

✍メープルシロップの輸入単価


キロ単価はカナダよりもアメリカ合衆国の方が高い状態が10年続いています。

輸入量はカナダに遠く及ばないアメリカ合衆国ですが、もしかしたらカナダと異なる風味を受け入れてもらえる市場であれば多少高く販売できるのかもしれません。

メープルシロップはハチミツとは異なる栄養をもつ天然の甘味料として古くから親しまれてきました。

また、メープルシロップはハチミツとは異なり植物性であるため、近年ではヴィーガンの方でも問題なく利用できる点も注目されています。

 3.輸入前に確認すること 

✍食品等輸入届出

メープルシロップは食品なので、輸入時に厚労省へ「食品等輸入届出」をします。

届出の際には《原材料表》と《製造工程表》が必要になります。

輸入をする前にあらかじめ準備しておきましょう。

詳しくは6.輸入通関「食品等輸入届出」で解説します。

 4.輸送時の注意点 

メープルシロップの輸入における主な輸送形態は、その量や緊急性によって大きく異なりますが、一般的には以下の2つが主流です。

✍海上輸送(コンテナ船)

大量のメープルシロップを一度に輸送する場合に最も経済的な方法です。

輸送に時間がかかりますが、コストを抑えることができます。

■梱包形態

  • 段ボール箱詰め
    一般的な小売用のボトルや缶に充填されたメープルシロップを段ボール箱に詰め、それをパレットに積んでコンテナに積載します。
    最も一般的な形態です。
  • ドラム缶(バルク)
    業務用や加工用など、非常に大量のメープルシロップを輸入する場合、200リットル程度のドラム缶に充填して輸送することもあります。
    この場合、輸入後に日本国内で小分けや加工が行われます。

■温度管理

メープルシロップは未開封であれば常温保存が可能ですが、極端な高温や温度変化は品質に影響を与える可能性があります。

そのため、通常のドライコンテナで輸送されることが多いですが、夏季の高温期などは、品質保持のためにリーファーコンテナ(温度管理機能付きコンテナ)を利用するケースも稀にあります。

ただし、一般的にはそこまでの厳密な温度管理は不要とされています。

✍航空輸送(航空便)

緊急性が高い場合や、少量・高価な製品を輸送する場合に利用されます。

海上輸送に比べてコストは高くなりますが、輸送期間を大幅に短縮できます。

■梱包形態

主に段ボール箱に詰められたボトルや缶の形態で、航空貨物として輸送されます。

■温度管理

航空機の貨物室は基本的には温度管理されていますが、やはり極端な温度変化を避ける必要があります。

航空輸送で温度管理をする場合、各空港では冷蔵設備などがありますが、飛行中は常温となります。

そのため、温度変化を最小限にするために、適切に梱包することが重要になります。

✍輸送形態を選ぶ上での考慮事項

  • 輸送量:大量なら海上輸送、少量なら航空輸送が一般的です。
  • コスト:海上輸送は安価、航空輸送は高価です。
  • リードタイム(輸送期間):航空輸送は短期間、海上輸送は長期間です。
  • 製品の形態:小売用ボトル、業務用ドラム缶など、どのような形態で輸入するかによって、輸送の選択肢が変わります。
  • 品質保持の要件:メープルシロップ自体は比較的安定した食品ですが、長距離輸送における振動や衝撃、極端な温度変化から製品を守るための梱包が重要です。
    特にガラス瓶に入ったものは破損防止の対策が必要です。

輸入の際にはこれらの点を考慮し、フォワーダー(国際輸送業者)と相談して最適な輸送形態を選択することになります。

 5.輸入に必要な書類 

輸入手続きに必要な書類は以下のとおりです。

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
ARRIVAL NOTICE 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。
食品等輸入届出済証 日本の厚労省食品監視課が発行。
製造工程表 製造工場が作成(※)。
原材料表 製造工場が作成(※)。

※《製造工程表》及び《原材料表》は、製造工場の情報を元に輸入者が作成しても良いです。

 書類の修正などが発生した場合、現地工場に修正を求めるよりも、輸入者自身で作成したほうがスムーズに進む場合があります。

 6.輸入通関「食品等輸入届出」 

✍食品等輸入届出の申請に必要な書類

書類名 書類作成者等
製造工程表 製造工程に加え、商品がどのような材質の包装に入っているか確認が必要です。
製造工場が作成(※)。
原材料表 原材料名・割合(%)・原産国等の表記が必要です。
製造工場が作成(※)。
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。

※《製造工程表》及び《原材料表》は、製造工場の情報を元に輸入者が作成しても良いです。

✍申請の流れ

  1. 上記必要書類をもとに《食品等輸入届出書》を作成。
  2. 輸入する港の管轄の厚労省食品監視課へ、原材料表と製造工程表を添付して申請。
  3. 審査後に問題がなければ《食品等輸入届出済証》が発行されます。

※法律に適した商材かを確認しなければならないため、原材料情報(原材料名、割合、原産国等)や製造工程について申請する前に確認が必要となります。

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 7.輸入通関「税関申告」 

✍HSコード・関税

❏メープルシロップ:1702.20-200

  • 基本:35%又は27円/kg(*1)
  • WTO協定:17.5%又は13.50円/kg(*1)
  • 特別特恵LDC:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    CPTPP:FREE
    EU・英国:8.8%又は6.75円/kg(*1)
    以下全て適用なし
     シンガポール・メキシコ・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア
     ブルネイ・ASEAN・フィリピン・スイス・ベトナム・インド
     ペルー・豪州・モンゴル・RCEP(*2)
  • 日米貿易協定:FREE

*1:どちらか高い税率を適用
*2:ASEAN・豪州・ニュージーランド・中国・韓国

輸入商材を販売する際、仕入原価はしっかり考えるべき要素の一つです。
関税は仕入原価になるので、輸入前に最新の関税率を把握することは大変有益だと思います。

アクセス・ジャパンでは最新の税番・関税率をお調べするサービスをご提供しています。

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✍輸入通関に必要な書類

書類名 書類作成者等
製造工程表 製造工場が作成(※)。
原材料表 原材料名・割合(%)・原産国等の表記が必要です。
製造工場が作成(※)。
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
ARRIVAL NOTICE 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。
食品等輸入届出済証 日本の厚労省食品監視課が発行。

※製造工程表及び原材料表は、製造工場の情報を元に輸入者が作成しても良いです。

✍輸入申告

上記の「必要書類」をもとに《輸入申告書》を作成し、必要書類を添付して税関に申告します。

審査が終了し輸入関税・消費税を納税すると輸入許可となり貨物を引き取ることができます。

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 8.まとめ 

日本でも生産はされつつありますが、まだまだ市場に出回る数が限られております。

本場カナダ産のメープルシロップの輸入をされたい方はぜひご相談ください。

輸入する事になりましたら、まずはお問い合わせください。

輸入が初めてで進め方がわからない、現在輸入を進めているがこの進め方であっているのか不安だという方は国際物流コンサルティングサービスをご検討ください。

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まずは無料のヒアリングをさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

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