公開日:2025/09/10 /

日本ではトラウト(サーモン)の需要が拡大しています。
いままでトラウト(サーモン)の供給は輸入に頼っていましたが、国内のトラウト(サーモン)需要の拡大を受け、国内養殖の増産計画が進められています。
また、海外での日本食ブームと円安が追い風となって、輸出量も拡大しています。
今注目されている国産養殖の生鮮トラウト(サーモン)フィレの輸出を検討している方、チャレンジしたい方は必見です。
1.生鮮トラウト(サーモン)について
一般的に「サーモン」と呼ばれる魚は養殖されたものが多く生で食べられることが特徴です。
これは養殖技術の進歩により寄生虫のリスクが少ないためであり、刺身や寿司など生で食べることができます。
サーモントラウトは、トラウト(マス)を品種改良したもので、養殖で育てられます。
特に、海で養殖されるものが多く、身の色が鮮やかで、適度な脂の乗り具合が特徴です。
2.輸出するにあたっての注意点
✍EPAについて
下記の国または地域へ輸出する場合、日本で発行した特定の書類を相手国側に提出すれば関税の軽減又は免除を受けられる可能性があります。
国ごとに必要書類やフォーマット及び税率が変わりますので、都度現地輸入者に確認しましょう。
| シンガポール | メキシコ | マレーシア | チリ |
| タイ | インドネシア | ブルネイ | ASEAN全体 |
| フィリピン | スイス | ベトナム | インド |
| ペルー | オーストラリア | モンゴル | TPP11 |
| 日EU |
EPA |
米国 | 英国 |
| RCEP |
農林水産省でサポートを受けることができます。
✍福島第一原発事故の各国の対応
福島第一原発事故から14年以上経過し規制は徐々に緩和されつつありますが、まだ全て無くなってはいません。
日本産品に対する各国それぞれ規制内容や対応が異なりますので下記リンクをご確認くださいませ。
✍輸入国側の規制の確認
輸入国側ではその国ならではの様々な規制があります。
基本的には輸入者が自国の規制をすべて確認し、それらをクリアするために必要な作業や書類を日本側の輸出者が用意する流れになります。
インボイス・パッキングリスト以外で、一般的に要求される書類に《原産地証明書》《衛生証明書》《放射性物質検査証明書》などがあります。
- 原産地証明書:商工会議所が発行。
- 衛生証明書 :商工会議所または厚生局が発行。
- 放射性物質検査証明書:専門機関が発行。検査機関は農林水産省HPで確認。
参考:農林水産省各種証明書HP
書類発行には日数がかかります。フライトに間に合うように準備しましょう。
✍梱包について
❏梱包資材・保冷資材・重量について
水産品の梱包は発泡スチロールを使用するのが一般的です。
航空輸送では段積みされるうえに、作業は人力で行われるため、1箱の重量が25キロを超えてくると丁寧な作業が難しくなります。
また、保冷ジェル・ドライアイスの容量については、保冷を切らさないように十分に入れ込みたいところですが、航空運賃には保冷資材の重量もコストになります。
そのため、梱包では
1箱25キロ以下 = 商品実重量+保冷資材
となるように意識しましょう。
長年、生鮮品の輸出入を行っている荷主様は、着荷時の保冷資材の残量を常に確認して、季節ごとに微調整をしています。
※実際には1箱25キロ以上でも輸送は可能です。あくまで目安です。
3.輸出に必要な書類
輸出通関に必要な書類は以下のとおりです。
| 書類名 | 書類作成者等 |
|---|---|
| インボイス | 輸出者が作成。 インコタームズ、商品名、学名、個数、単価、金額、合計金額を記載。 |
| パッキングリスト | 輸出者が作成。 商品名、材質、個数、重量を記載。 |
| EPA書類 | 必要に応じて輸出者が作成。日本商工会議所が発行。 |
| 原産地証明書 | 必要に応じて輸出者が作成。商工会議所が発行。 |
| 衛生証明書 | 必要に応じて輸出者が作成。地方農政局等。農林水産省HP参照。 |
※インボイスとパッキングリストは情報が重複する部分が多いので「INVOICE&PACKING LIST」として内容を1枚に集約しても構いません。
※輸入国側が求める《産地証明書》や《放射線物質証明書》は、輸出通関時に税関へ提示することはありません。
❏インボイス・パッキングリストのサンプルを用意しました。
ダウンロードしてお使いください。
4.輸出通関「税関申告」
✍輸出HSコード ※2025年1月
❏生鮮ますフィレ:0304.42-000
✍税関へ申告
インボイス・パッキングリストをもとに《輸出申告書》を作成します。
《輸出申告書》にインボイス、パッキングリスト等必要書類を添付して申告します。
審査が完了し、問題が無ければ《輸出許可通知書》が発行されます。
※《輸出許可通知書》は輸出者がインボイス等の輸出書類とともに5年間保存する必要があります。
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5.航空運賃の計算方法
航空運賃は実重量と容積重量を比較して、重い方を採用します。
同じ重量でも容積が大きい方が重いという考え方です。
例えば、鉄100kgより綿100kgのほうがスペースを必要とするのでコストは高くなります。
- 実重量(Actual weight):実際に計測した重量です。
- 容積重量(Volume weight):縦cm x 横cm x 高さcm ÷ 6,000という公式で計算します。
具体例
◇サイズ 100cm x 80cm x 50cm、実重量60kg の場合
◇容積重量計算 100cm x 80cm x 50cm ÷ 6,000 = 66.7kg →67.0kg に切り上げ
実重量60kg、容積重量67kgなので、容積重量67kgが運賃適用重量(chargeable weight)になります。
6.まとめ
日本は水産資源がとても豊富な島国なので、たくさんの種類の水産物がとれます。
今回のテーマである生鮮トラウト(サーモン)フィレ以外にも世界中に日本産のとれたての水産物を届けられるよう弊社がお手伝いさせていただきます。
輸出が初めてで進め方がわからない、現在輸出を進めているがこの進め方であっているのか不安だという方は国際物流コンサルティングサービスをご検討ください。
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