冷凍庫の輸入方法

新型コロナウィルス感染拡大により在宅時間の増加や外出自粛などに伴う「買いだめ」により食材を冷凍保存する機会が増えております。

その結果、通常の冷蔵冷凍庫に加えセカンド冷凍庫の需要が高まり、冷凍庫の輸入が急増しています。

ここでは冷凍庫の輸入方法を解説します。

 1.冷凍庫の種類 

冷凍庫の冷却方式はいくつか種類があります。

✍圧縮式

圧縮式は、液体が蒸発する時に周囲から熱を奪うという性質をもった「冷媒(作動流体)」を用いて庫内を冷却します。

冷却能力が大きく、エネルギー効率が高いので、大容量冷凍冷蔵庫などに使用されています。

1日の内に頻繁に扉の開閉がある場合でも、庫内温度を素早く設定温度に保つことができます。

冷却性は高いですが、内部に備えた圧縮機(コンプレッサー)起動時や運転時にはわずかに動作音が発生します。

✍吸収式

吸収式は、吸収力の高い液体に冷媒を吸収させることにより、低圧で気化させて 低温を得ます。

冷媒を吸収する吸収材には臭化リチウムやアンモニアなどが用いられます。

冷媒として水(蒸留水)を使用しているため、冷媒にかかるコストが低く、環境に優しいというメリットがあります。

 2.電気用品安全法について 

輸入を始める前に電気用品安全法を理解し、届出をしなければなりません。

ここでは電気冷凍庫(定格消費電力500W以下の冷却装置を有する)をモデルに解説します。

✍電気用品安全法とは

電気用品安全法は電気用品による危険及び障害の発生の防止を目的とする法律です。
約450品目の電気用品を対象として指定し、製造、販売等を規制するとともに、電気用品の安全性の確保につき民間事業者の自主的な活動を促進する枠組みとなっています。
また、この法律で定められている規制には、未然に危険・障害の発生を防ぐための流通前規制と、発生した危険・障害の拡散を防ぐための流通後規制があります。

最新の法律情報については経済産業省のHPを参照してください。
https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/index.htm

✍電気用品とは

すべての電気製品が法の対象となるわけではなく、電気用品安全法の対象となる「電気用品」については、同法第2条において、次のように定義されています

  1. 一般用電気工作物(電気事業法 (昭和 39 年法律第 170 号)第38条第1項に規定する一般用電 気工作物をいう。) の部分となり、又はこれに接続して用いられる機械、器具又は材料であっ て、政令で定めるもの
  2. 携帯発電機であって、政令で定めるもの
  3. 蓄電池であって、政令で定めるもの

冷凍庫は1に分類されます。

✍電気用品名

販売しようとしている冷凍庫の電気用品名を確認します。

  • 冷凍庫の電気用品名:電気冷凍庫(定格消費電力が500W以下の冷却装置を有するものに限る)

✍流通前規制

流通前規制における届出・手続きの流れは下記のとおりです。

  1. 電気用品名の確認:電気冷凍庫
  2. 事業届出:事業開始から30日以内に届出を行います。
  3. 技術基準適合確認:電気冷凍庫における適合基準はこちらを参照 
  4. 適合性検査:電気冷凍庫は適合性検査は不要です。※特定電気用品以外の電気用品のため
  5. 輸入
  6. 自主検査:国が定めた検査の方式により検査を行い、検査記録を作成します。検査記録は検査の日から3年間保存します。
    ※海外の製造事業者が日本の検査方式に対応している場合は当該製造事業者に検査を依頼することができます。
     その際は全数検査を行い、検査方法・判定基準・検査結果を記載した検査記録を取得し3年間保存します。
    ※詳しくはこちら
  7. 表示:PSEマークの表示。
    以上の流通前規制に関する義務を届出事業者が果たした証として、届出事業者が電気用品に「PSE」の表示を製品に付すことができます。
    なお、PSEマークは、このように義務を果たした証として表示できるものであって、 「国から取得」したり、「PSE認証取得」するようなものではありません。
    詳しくはこちら
    PSE表示例
  8. 以上を以って販売することができます。

ここまで非常に時間がかかりますので、スケジュールは余裕を持って取り掛かりましょう。

また、検査等は専門的な知識が必要です。

✍流通後規制

輸入販売後、市場に流通した自社製品に対しての安全を担保するための規制です。

輸入通関後の規制になりますので、ここでの解説は省略します。

詳しくはこちら

 3.輸入通関「食品等輸入届出」 

製氷機など、食品に直接触れる部分は、食品衛生法の対象になります。

まずはじめに、「規格検査(自主検査)」を実施しなければなりません。

「規格検査(自主検査)」では、製品に使われている材質や塗料などが日本国内で使用可能かどうかを確認します。

検査日数は1週間から10日程度です。

検査中は製品を保税蔵置所から引き取ることはできません。

検査が終了すると「試験成績証明書」が発行されます。

もし不適切な成分が検出されると、その商品は輸入通関をすることができません。

その場合、滅却もしくは積み戻しとなり、物量によっては多額の費用が発生します。

そこで、食品申請の対処となる部品を搭載している冷凍庫は、対象となる部分を検査に必要な数量を輸入し、適正な「試験成績証明書」を取得してから販売用の冷凍庫を輸入することでリスクを回避することができます。

次回より、取得した適正な「試験成績証明書」を使用することで「規格検査(自主検査)」は必要なくなり、速やかに通関して引き取ることが可能になります。

ここでは、「規格検査(自主検査)」から「食品等輸入届出」までを解説します。

✍材質の確認

まずはじめに、材質の確認をします。

>材質によって「規格検査(自主検査)」が必要ない場合があります。

※食品に触れる場合、「食品等輸入届出」は必須です。

❏規格検査(自主検査)が必要な素材

  • 陶器(セラミック)製
  • プラスチック製
  • ガラス製
  • 紙製

など

こちらの材質は「規格検査(自主検査)」が必要になります。

❏規格検査(自主検査)が不要な素材

  • スチール製
  • アルミ製
  • ステンレス製

など

こちらは検査・食品申請は不要です。

✍必要書類

「規格検査(自主検査)」と「食品等輸入届出」に必要な書類は下記のとおりです。

  • インボイス・パッキングリスト:輸出者が作成
  • 製品規格書(材質・形状がわかるもの):輸出者が作成。もしくは輸出者の提出する資料を基に輸入者が作成しても可。
  • AWB:航空輸送の場合。輸出国側のフォワダーが発行。
  • SEA WAYBILL:海上輸送の場合。輸出国側のフォワダーが発行。
  • ARRIVAL NOTICE:海上輸送の場合。船会社が着港直前に発行

✍一連の流れ

1.貨物到着

海外から商品が到着すると、空港・海港の保税蔵置所へ蔵置されます。

通関が許可になるまで、貨物を引き取ることはできません。

規格検査(自主検査)が必要な場合、検査のサンプリング作業はこの保税蔵置所内で行われます。
※サンプリング後は検査機関へ持ち出されます。

2.食品等輸入届出

インボイス・パッキングリスト・商品規格書をもとに申請書類を作成し、必要書類を添えて厚労省食品監視課へ申請します。

食品監視課は申請内容を確認すると「規格検査(自主検査)」を受けるよう指導をします。

指導内容に検査項目は記されており、検査項目に応じた検査を実施します。

※規格検査(自主検査)が必要ない素材の商品でも、「食品当輸入届出」は必要です。

3.見本持出

保税蔵置場に蔵置されている貨物は税関の許可なしに持ち出すことはできません。

「規格検査(自主検査)」は検体をサンプリングし、検査機関へ輸送しなければなりません。

そこで、サンプリング前に「見本の一時持ち出しの手続き」をします。

税関長へ「見本持出許可申請書」を提出し許可を得ることで、このあとのサンプリングを進めることができます。

※一時持出しされた見本は、原則として、税関長の指定する期間内に保税地域に戻さねばなりません。
しかし、その指定期間内に持ち出された見本と保税地域に残っている外国貨物とを一括して輸入の許可を受けた場合においては、保税地域に戻す必要はありません。

4.サンプリング

サンプリングは保税蔵置場で行ないます。

保税蔵置所スタッフ立会のもと、第三者検査機関のスタッフが蔵置してある商品から必要数量を抜き取ります。

抜き取られた残りは、通関が許可になるまで引き続き蔵置されます。

サンプリングされた商品は検査機関の施設に持ち込まれ、有害な物質が検出されないかを検査します。

検査結果は1週間~10日ほどかかります(検査内容による)ので、結果が出るまで待ちます。

5.検査結果

分析の結果は、検査機関より「試験成績証明書」が発行されます。

次回より、この「試験成績証明書」を使用することにより、規格検査(自主検査)を受ける必要はなくなります。

ただし、試験をクリアした検体のみが有効であり、型違い・色違い・材質違いの場合には使用できないので注意が必要です。

※食品は1年に1回分析検査を更新しなければいけないのに対し、食器類は1回分析をし検査項目をクリアすれば分析検査の更新は不要です。

6.食品監視課の審査

分析結果を食品監視課に提出し、審査を受けます。

申請内容・審査結果に問題がなければ「済証」が発行されます。

ここまでが「食品等輸入届出」の作業になります。

次回より、同一の商材に関しては規格検査(自主検査)は不要で「食品等輸入届出」のみで輸入通関をすすめることができます。

 4.輸入通関「税関申告」 

✍必要書類

  • インボイス、パッキングリスト:輸出者が作成
  • AWB:航空の場合。現地フォワダーが発行
  • SEA WAY BILL:海上の場合。現地フォワダーが発行
  • ARRIVAL NOTICE:海上の場合。輸送船が到着する直前に、日本の船会社が発行
  • 商品説明書:HSコードの判別に必要です。
  • 食品申請済証※必要な場合

✍HSコード・関税

冷凍庫のHSコードは形態・仕様により変わります。

  • 横置き型冷凍庫400L以下のもの:8418.30-010 関税FREE
  • 横置き型冷凍庫その他のもの:8418.30-090 関税FREE
  • 直立型冷凍庫容量が900L以下のもの:8418.40-000 関税FREE
  • ショーケース用400L以商品説明書:8418.50-010 関税FREE
  • ショーケース用その他:8418.50-090 関税FREE

❏参考(その他の冷凍冷蔵庫)

  • 冷凍冷蔵庫(それぞれ独立した外部扉を有するものに限る。):8418.10-000 関税FREE
  • 家庭用冷蔵庫 圧縮式のもの:8418.21-000 関税FREE
  • 家庭用冷蔵庫 圧縮式以外のもの:8418.29-000 関税FREEE
  • アイスクリームフリーザー及び製氷機:8418.690020 関税FREE※食品申請が必要です。

輸入申告書に必要書類を添付して申告します。

※必要に応じて食品申請済証も添付します。

審査が終了し、輸入消費税を支払うと輸入許可となり貨物を引き取ることができます。

 5.まとめ 

冷凍庫は身近な家電で、輸入販売を検討される企業様も多いかと思います。

しかし、電気用品安全法や食品等輸入届出など、時間と費用のかかる作業があるため、コスト計算やスケジューリングが複雑です。

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