鰻の蒲焼(冷凍品・海上輸送)の輸入方法

日本には鰻の日があります。

夏の土用の丑の日が有名ですね。

古来より日本人は鰻を食べてきました。

近年では輸入量も増えて、スーパーマーケットでも蒲焼をよく見ます。

市場規模も大きく、輸入にチャレンジしようとする商社も多いのではないでしょうか。

ここでは鰻の蒲焼(冷凍品・海上輸送)の輸入方法について解説します。

 1.輸入前に確認すること 

鰻の蒲焼きは確認することがたくさんあります。

まずはじめに確認することは以下のとおりです。

✍ワシントン条約

鰻は4種類あります。

名称 学名 備考
二ホンウナギ (Anguilla Japonica/アンギラ ジャポニカ種)
ヨーロッパウナギ (Anguilla Anguilla/アンギラ アンギラ種) ※ワシントン条約附属書Ⅱ
アメリカウナギ (Anguilla rostrata/アンギラ ロストラータ種)
オオウナギ (Anguilla marmorata/アンギラ マルモラータ種)

※上記のうち、ヨーロッパウナギはワシントン条約附属書Ⅱに掲載されています。

附属書Ⅱは国際取引を規制しないと絶滅のおそれのある種が掲げられており、商業目的の取引はできますが、輸出国政府の管理当局が発行する輸出許可書が必要です。

まずは輸入しようとしている鰻の学名を確認し、もしもヨーロッパウナギであれば、輸出国側で輸出許可書が発行できるか確認しましょう。

もしも輸出許可書を発行できない場合は輸入することができません。

別種の仕入先を探しましょう!

✍食品輸入相談指導室の活用

蒲焼はいろいろな原材料・添加物が含まれています。

日本で認可されていない成分が含まれていると輸入することができません。

まずは食品輸入相談指導室に相談して、輸入ができるか確認しましょう。

詳しくは”輸入通関「食品等輸入届出」”で解説します。

✍冷凍倉庫の確保

海上輸送ではリーファーコンテナで輸入します。

商品を納品する冷凍倉庫は事前に確保しなければなりません。

※冷凍倉庫は慢性的に満杯なので、輸入してから探しては遅いのです。

✍日本の到着港の通関代理店が取り扱い可能かどうか

食品の取り扱いをしていない通関業者は多いので、依頼する通関業者が食品の取扱い可能か確認しましょう。

アクセスジャパンは食品の取扱い可能ですのでお気軽にお問い合わせください!

上記はまずはじめにクリアしておくべき事です。

では、以下輸入方法を解説していきます。

 2.輸入に必要な書類一覧 

輸入に必要な書類は次のとおりです。

書類名 書類作成者等
原材料表 製造工場が作成。 ※1
製造工程表 製造工場が作成。 ※1
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
SEA WAY BILL 海外フォワダーが発行。
ARRIVAL NOTICE 輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。
放射線照射無照射レター(フォームは任意) 輸出者が用意。輸出国が中国の場合に必要。
中国:OXOLINIC ACID CERTIFICATE 輸出国行政機関が発行。輸出者が用意。
この書類があれば命令検査が免除になります。※2
台湾:EXPORT CERTIFICATE 輸出国行政機関が発行。輸出者が用意。
この書類があれば命令検査が免除になります。
食品等輸入届出済証 厚労省食品監視課が発行
※食品等輸入届出後に発行されます。

中国・台湾以外の国からの輸入の場合、別途確認が必要です。

※1 製造工程表及び原材料表は、現地工場の情報を元に輸入者が作成しても良いです。

書類の修正などが発生した場合、現地工場に修正を求めるよりも、輸入者自身で作成したほうがスムーズに進む場合があります。

※2:加工場と養殖場の番号が両方とも免除対象として下記に登録されていないと有効にはなりません。
  登録加工場・養殖一覧

 3.輸入通関「食品等輸入届出」 

鰻の蒲焼き(冷凍品)は食品なので、厚労省の食品監視課に「食品等輸入届出」が必要になります。

✍食品等輸入届出の手順

  1. 食品輸入相談指導室への相談
  2. 食品等輸入届出の申請に必要な書類
  3. 申請の流れ

以下解説します。

1.食品輸入相談指導室への相談

上記の「1.輸入前に確認すること」でも触れていますが、まずは相談しましょう!

鰻の蒲焼は加工品ですので様々な調味料・添加物・着色料等が使われています。

原料によっては検査が必要だったり、最悪の場合では日本に輸入できないこともあります。

このような判断は大変難しいので、まずは厚労省食品輸入相談指導室に相談しましょう!

❏相談に必要な書類
  • 原材料表
  • 製造工程表

上記書類を用意して、相談指導室HPにある申込用紙に必要事項を記入します。

全国の厚労省食品輸入相談指導室はこちら

※相談官名、担当官署名、電話番号は控えておきましょう。
 輸入申告の際に、厚生労働省・税関で確認される場合があります。

つぎは必要書類です。

2.食品等輸入届出の申請に必要な書類

書類名 書類作成者等
原材料表 製造工場が作成。 ※1
製造工程表 製造工場が作成。 ※1
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
放射線照射無照射レター(フォームは任意) 輸出者が用意。 ※輸出国が中国の場合
中国:OXOLINIC ACID CERTIFICATE 輸出国行政機関が発行。輸出者が用意。※2
この書類があれば命令検査が免除になります。
台湾:EXPORT CERTIFICATE 輸出国行政機関が発行。輸出者が用意。※2
この書類があれば命令検査が免除になります。

※1 製造工程表及び原材料表は、現地工場の情報を元に輸入者が作成しても良いです。

 書類の修正などが発生した場合、現地工場に修正を求めるよりも、輸入者自身で作成したほうがスムーズに進む場合があります。

※2 中国、台湾以外の国は要確認です。

3.申請の流れ

上記の書類をもとに食品等輸入届出書を作成し、食品監視課に申請をします。

※命令検査もしくは自主検査が必要な場合、食品監視課から「検査実施の指示書」が発行されます。
もし指示書が発行された場合は、以下の「✍【注意】初回自主検査・命令検査」で解説しています。

審査に合格すると『食品等輸入届出済証』が発行されます。

食品等輸入届出はこれで完了です。

【注意】初回自主検査・命令検査

冷凍食品は初回に冷凍食品の規格検査を輸入者が自主的に行います。また、命令検査は検査に該当する場合のみ実施します。

初回自主検査、命令検査の流れは以下のとおりです。

  1. 海上貨物の到着
  2. 食品等輸入届出
  3. 検査機関によるサンプリング及び検査
  4. 検査結果を厚労省食品監視課に提出

以下解説していきます。

1.海上貨物の到着

冷凍品は、一般的にはリーファーコンテナで輸入されます。

コンテナのままでは検査を受けることができませんので、船が到着したらすぐに冷蔵庫へ移動(保税運送)させます。

※冷蔵庫に着いたらコンテナはデバンニング(積み荷の取り出し)され、パレット単位で冷凍庫保管されます。

2.食品等輸入届出

1と同時に食品等輸入届出を行います。

食品輸入相談指導室からアドバイスをもらい、製造工程表や原材料表が整備されているかと思います。

それらの資料を基に食品等輸入届出を行います。

厚生省商品監視課で書類審査が行われ、「検査命令書(自主検査・命令検査)」が発行されます。

「検査命令書」に検査項目が記載されているので、内容に沿って検査を行います。

3.検査機関によるサンプリング及び検査

コンテナを冷蔵庫に移動し、食品等輸入届出を行い検査命令書が発行されたら、いよいよ検査の実施です。

検査の流れは以下の通りです。

  1. 検査機関へ依頼及びスケジュール調整
  2. 冷凍倉庫へサンプリングの取扱いを依頼
  3. 検査官によるサンプリング
  4. 検査機関で検査開始
  5. 3~4日間で検査結果

検査結果(輸入食品等試験成績証明書)を厚労省食品監視課に提出をし、審査に問題がなければ「済証」が発行されます。

✍検査費用

検査費用は以下のとおりです。

あくまで検査費用のみです。

※この他に通関諸掛費用(通関料・取扱料・食品申請料・港湾費用など)が発生します。

❏自主検査費用

検査項目 金額 ※検査機関により変わる場合があります。
一般生菌数 5,500円(免税)/検体※1
大腸菌群 5,500円(免税)/検体
サイクラミン酸 10,000円(免税)/検体
サンプリング手数料※2     3,300円(税込)

※自主検査(冷凍食品の規格検査)の有効期限は1年間です。

❏命令検査費用

検査項目 金額 ※検査機関により変わる場合があります。
オキソリン酸(中国産の場合) 20,600円(免税)/検体
スルファジミジン(台湾産の場合) 12,600円(免税)/検体
サンプリング手数料 3,300円(税込)

※1 検体とは検査にだす商品の一部のことです。

※2 サンプリングとは、検査管が蔵置されている商品から検査に必要な分量を抜出す作業のことです。

食品申請が完了したら、次は「税関申告」です。

 4.輸入通関「税関申告」 

✍HSコード・関税 ※2022年4月

❏うなぎの調製品:1604.17-000

✍輸入に必要な書類

輸入申告の手続きに必要な書類は次のとおりです。

書類名 書類作成者等
原材料表 製造工場が作成。
製造工程表 製造工場が作成。
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
SEA WAY BILL 海外フォワダーが発行。
ARRIVAL NOTICE 輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。
食品等輸入届出済証 厚労省食品監視課が発行
※食品等輸入届出後に発行されます。

✍輸入申告

上記の「必要書類」をもとに輸入申告書を作成し、必要書類を添付して税関に申告します。

審査が終了し輸入関税・消費税を納税すると輸入許可となり貨物を引き取ることができます。

 5.冷凍倉庫搬入について 

冷凍倉庫の選定及び搬入は重要であり、そしてハードルが高い部分になります。

鰻の蒲焼き(冷凍品)はリーファーコンテナで輸入するケースが多いです。

そのため冷凍倉庫はデバンニング(積み荷の取り出し)可能な冷凍倉庫を選定しておく必要があります。

さらに、食品申請や検査等で輸入通関まで数日間要する可能性が高く、コンテナのフリータイム期間(リーファーコンテナは3日間)では足りません。

そこで、到着後はすぐに「保税運送(輸入許可になる前に輸送)」で冷凍倉庫に搬入することになります。
デマレージ費用(コンテナ保管延長料金)を払うことでフリータイム期間を超えて蔵置することも可能ですが、最初に冷凍倉庫へ搬入するほうがトータルコストが安くなります。

ですので、冷凍庫は、「デバンニング可能」かつ「保税蔵置所」を条件に選定しましょう。
※ただの冷凍倉庫では「保税状態の商品」を保管することができません。

冷凍倉庫への搬入手配の手順は次のとおりです。

  1. 船の入港日及び一括搬入日(コンテナがCYに搬入される日)を確認
  2. 冷凍倉庫の搬入可能時間を確認
  3. 冷凍倉庫の搬入可能時間に合わせたドレージ(コンテナ)配送を手配

このようになります。

冷凍倉庫とドレージは慢性的に混み合っており、両者の都合が合わないと搬入することができません。

また、リーファーコンテナのフリータイム期間は3日間しか無いので、限られた日数で手配を完了させなければ、デマレージ費用が発生してしまいます。

通関業者選定の際には、冷凍倉庫側と交渉ができる経験値の高い通関業者を選びましょう。

 6.まとめ 

鰻の蒲焼き(冷凍品)の輸入はなかなか大変ですが、乗り越えてしまえば大きな商圏の獲得に繋がります。

最後にまとめますと。

  1. ヨーロッパウナギは輸入しない(ワシントン条約に該当するため)。
  2. 最初に食品輸入相談指導室に相談する。
  3. 冷凍倉庫を確保する
  4. 経験値の高い通関業者に依頼する
  5. 原材料表・製造工程表の精度が重要。
  6. 命令検査を回避できる書類の有無を確認する。
  7. 到着から輸入許可までそれなりの日数がかかります。
    納品期日は余裕を持って設定しましょう。

以上になります!

輸入は国際情勢や法改正などにも影響を受けますので、安定的に継続するには微調整が必要になってきます。

そのようなときには、通関代理店や厚労省、税関に相談するようにしましょう。

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