古着の輸入方法

クローゼットにかけられた古着のワイシャツ

※このページを読むと、これから古着の輸入にチャレンジする方が全体像を把握したり、予めリスクを排除したりすることができるページとなっております。

 1.はじめに 

地球温暖化により起こるとされる水産資源の減少。

2030年には起こると言われているフードクライシス。

世の中がSDG‘S、持続可能な社会になるために物を大事にすることが改めて考えられています。

服にしても同様です。

次から次へと流行も追うのも良いですが、ひとつのものをずっと大事に使うのも大切なのではないでしょうか。

世界的に古着は再評価されており、各国で古着や服のリサイクル需要が増えています。

ここでは古着の輸入方法について解説します。

 2.輸入前に気をつけること 

✍知的財産権について

有名ブランドに似せたロゴなどを使用した製品は、知的財産侵害物に該当する可能性があります。

輸入通関の際に税関へ申告し、税関検査や書類審査で知的財産権に抵触するおそれがあると判断した場合、税関は「認定手続」を開始します。

認定手続が完了するまでは、商品を引き取ることができません。

※認定手続の期間は1か月以内が目処とされていますが、利権者と輸入者の意見が対立すると1ヶ月を超えることもあります。

「認定手続」が開始されると《認定手続開始通知書》が輸入者に送付されます。

《認定手続開始通知書》は4種類あり、それぞれ対応方法が異なります。

●認定手続開始通知書(輸入者用) 税関解説ページ
●認定手続開始(輸入者等意思確認)通知書(輸入者用) 税関解説ページ
●認定手続開始通知書(名宛人用) 税関解説ページ
●認定手続開始(輸入者等意思確認)通知書(名宛人用) 税関解説ページ

知的財産侵害物に認定されると、輸入できません。

また、積戻し(返品)するにしても経済産業大臣等の輸出承認が必要になります。

しかし知的財産侵害物に認定されている場合は、当然のことながら輸出承認はされないので、輸入者による自発的処理もしくは税関が没収します。

コピー商品はもちろんのこと、疑わしいデザインなど知的財産権に該当するおそれのある商品は取り扱わないようにしましょう。

詳しくはこちら:税関HP「知的財産侵害物品の取締り」

✍ワシントン条約について

古着に使われている素材が、ワシントン条約附属書に区分されている動植物を使用した衣類は規制の対象となります。

革製のコートやベルト、バッグは要注意です。

ワシントン条約附属書はⅠ、Ⅱ、Ⅲに分かれます。

附属書Ⅰ 附属書Ⅱ 附属書Ⅲ
趣旨 絶滅のおそれのある種で取引による影響を受けている又は受けるおそれのあるもの 現在は必ずしも絶滅のおそれはないが、取引を規制しなければ絶滅のおそれのあるもの 締約国が自国内の保護のため、他の締約国・地域の協力を必要とするもの
可否 学術研究目的の取引は可能
※古着輸入では該当しないですね。
商業目的取引は不可
商業目的取引は可能 商業目的取引は可能
条件 輸出国、輸入国双方の許可書が必要 輸出国政府が発行する輸出許可書が必要 輸出国政府の発行する輸出許可書または原産地証明書が必要

使われている材質がどの附属書に区分されているかを確認するには、材質の学術名が必要になります。

詳しくはこちら:ワシントン条約規制対象種の調べ方

輸入の際には条件欄にある許可書や証明書が必要になります。

日本に到着してから手配していたら、長期間にわたり空港・海港に留置されてしまいます。

保管料等の費用も発生しますので、ワシントン条約に該当する素材の製品は避けるか、もしくは輸入前にしっかりと確認(とくに輸出国側で必要書類を用意できるかどうか)する必要があります。

 3.輸送方法について 

✍梱包方法

古着(衣類)はとにかくボリューム(容積)が大きくなりがちです。

物流コストは重量と容積が基準になります。

重量を軽くするのは至難の業ですが、容積に関してはとにかく圧縮して小さくしましょう!
※圧縮することでシワになったり、商品にダメージを与えてしまう可能性がありますので注意が必要です。

❏ダンボール梱包

通常はダンボール梱包で十分です。

落下や衝撃などのダメージに対して古着はそれほどケアが必要ありませんが、詰め込みすぎてダンボールが破損しないように気をつける必要があります。

ダンボールにぎっちり詰め込んで、梱包用のストレッチフィルムで包むと破損に強くなります。

❏ベール梱包

機械で圧縮し、ビニールや布とバンドルで固定・梱包する方法です。

機械の力を使うことでダンボールで人力で梱包するよりも圧倒的に容積を縮めることが可能です。
※約30%程度圧縮できると言われています。

古着における物流コストは一番安い梱包になります。

専用の機械が必要になるので、対応できる業者は限られます。

✍海外に行って買いつける場合

海外に行って買い付ける場合、日本に持ち込む方法は次の2パターンが考えられます。

免税の条件など、色々と考慮しなければならないことが多いのですが、ここでは参考となる手法をそれぞれ解説します。

❏1.自分の荷物として持ち帰る方法 詳細▼

商売目的かつ課税価格(商品代金+輸送費+保険料の合計)が30万円以下の場合は、「旅具通関」扱いとなります。

「旅具通関」とは帰国時に空港の保税区を出るときに税関職員にスーツケースの中身のチェックを受けたりする通関です。

◯ポイント1:課税価格30万円以下

「旅具通関」は課税価格が30万円以下であることが条件です。

これは商品代だけでなく、輸送費や保険料も合わせて30万円以下にしなければなりません。

輸送費はIATA公示レートと呼ばれるもので、通関時に税関から提示されます。

商品だけで30万円ギリギリまで購入してしまうと旅具通関時に税関からの運賃加算により課税価格30万円を超えてしまうので、うまく調整しましょう。


課税価格30万円を超えてしまった場合は、「業務通関」になります。

入国時に税関で業務通関扱いの申告をし、保税地域への商品の搬入手続きを依頼します。

保税倉庫業者から搬入票を受け取り、「輸入(納税)申告書(税関様式C-5020)」3通に搬入票、インボイス、許可証等を添えて税関に提出します。

税関の審査・検査後、関税・消費税等を納付し輸入許可が下りると申告書の1通が輸入許可通知書として交付されます。

その輸入許可通知書を保税地域で提示することにより、貨物を引き取る事ができます。

「旅具通関」と比べて「業務通関」は非常に時間と労力と費用が必要になりますので、注意しましょう。

もし予期せず業務通関になってしまったら、通関業者へのご相談をおすすめします。

お問い合わせは こちら

◯ポイント2:レシート

課税価格30万円以下の根拠となる資料が商品購入時の「レシート」になります。

ただし、商習慣が日本と違う海外では、レシートが出ない場合があります。

その際には、「値札と商品の売場写真」もしくは最低でも「メモ書き」を用意しておきましょう。

◯ポイント3:荷造り時の注意点

「旅具通関」で商業用の商品を持ち帰る場合、私物と商品がごちゃまぜになってしまう場合があります。

通関時にスムーズに対応できるよう、私物と商品は明確に区別して荷造りをしましょう。

◯ポイント4:必要書類

必要書類は下記のとおりです。

インボイスは事前に作成しておきましょう。

また、レシートも整理しておきましょう。

  • 携帯品・別送品申告書(税関様式C-5360):機内で配られる書類です。
  • インボイス:任意のフォームで作成します。
  • 商品購入の際のレシート:インボイスの根拠となります。店舗によってはもらえない場合もありますが、その際にはメモでOKです。

◯ポイント5:旅具通関時の対応

上記の書類3セットを提示して、必要に応じて関税・消費税を納税したら完了です。

知的財産権やワシントン条約に該当する製品が発見されると、審査は保留となります。

解決するまで引き取れないので、該当商品を持ち込まないよう注意しましょう。

❏2.現地の配送業者に依頼する方法 詳細▼

大量に買いつけた場合、手荷物として国内に持ち込むのは困難です。

そこで、「国際発送業者」を利用しましょう。

現地の市場など、海外バイヤーが集まるスポットでは「国際発送業者」がいることが多いです。

日本国内の指定場所まで届けてくれる業者であれば問題ありませんが、日本の空港までしか対応していない場合は、製品が日本に到着した際にご自身で輸入通関をする必要があります。

もちろん通関業者に依頼することも可能です。

お問い合わせは こちら

✍現地業者に発注して輸入する場合

日本から発注して、現地業者から発送してもらう手法です。

❏代行業者を使用

仕入をサポートする代行業者を使えば、商品のチェックや輸送、送金を代行してくれます。

当然のことながら代行手数料が発生します。

❏古着業者(輸出者)と直接契約

信頼できる古着業者と直接取引をする手法です。

商品の品質や梱包など、輸出者に委ねる部分が多い上に、送金リスクもあります。

しかし、信頼関係を結べることができれば、古着業者もあなたをパートナーとして様々なサポートをしてくれるでしょう。

中間業者がいない直接取引なので、仕入は最安になります。

現地買い付けに行った際には、将来的に信頼できる古着業者(輸出者)の発掘にも力を入れましょう!

 4.輸入に必要な書類 

輸入手続きに必要な書類は以下のとおりです。

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
絵型(えがた) 商品の形状(写真)や、材質、織り編み方、刺繍の有無等
ベール梱包の場合は、絵型は不要。インボイスに「ベール梱包」と記載する。
AIR WAYBILL(AWB) 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
ARRIVAL NOTICE 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。

 5.輸入通関 

✍古着の定義

古着として輸入する際には、税関における古着の定義に当てはまる必要があります。

  • 中古の紡織用繊維の織物類を製品にしたもの
    ・衣類及び衣類付属品並びにこれらの部分品
    ・履物及び帽子で石綿を使用していないもの
  • 使い古したものであることが外観から明らかであること
    ※個包装されていない状態
  • ばら積み、ベール、サック等で包装されている

上記に当てはまる場合、次項のHSコードになります。

💡注意!!

製品の全部、もしくは一部に革製品が使われている場合、古着の定義から外れますので注意しましょう。

✍HSコード・関税

❏中古の衣類その他の物品:6309.00-000

  • 基本:7%
  • WTO協定:5.8%
  • 特恵GSP:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    RCEP(中国):4.7%
    モンゴル:適用なし
    以下全て:FREE
    • シンガポール・メキシコ・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア
    • ブルネイ・ASEAN・フィリピン・スイス・ベトナム・インド・ペルー・豪州
    • TPP11(CPTPP)・EU・英国・RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド・韓国)
  • 日米貿易協定:適用なし

❏簡易税率:課税価格20万円以下

  • 簡易税率:5%

💡注意!!

  • 革製品について:
    製品の全部、もしくは一部に革製品が使用されている場合、上記のHSコードにはなりません。
    革製品のHSコードになります。
  • 特恵、EPAの関税FREEについて:
    特恵やEPAによる関税FREEは、国ごとに様々な適用条件があります。
    生産国がごちゃまぜになりがちな古着の買付において、条件を整えることはかなりのハードルになります。
    そのため、輸入時の関税は発生するものと認識しておいたほうが良いです。

✍税関申告

『4.輸入申告に必要な書類』をもとに《輸入申告書》を作成し、必要書類を添付して税関に申告します。

  • インボイス・パッキングリスト:輸出者が作成
  • 絵型:商品の形状や材質、織り編み方、刺繍の有無がわかるもの
  • AIR WAYBILL(AWB):航空の場合。現地フォワダーが発行
  • SEA WAYBILL:海上の場合。現地フォワダーが発行
  • ARRIVAL NOTICE:海上の場合。船到着直前に日本の船会社が発行

審査が終了し輸入関税・消費税を納税すると輸入許可となり貨物を引き取ることができます。

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 6.納品について 

✍物流倉庫へ納品

物流倉庫であれば、人員やフォークリフト等が揃っているので、どのような輸送形態でも荷受けは可能です。

倉庫へは事前に「搬入日時」「トラックの種類」を通達すればOKです。

✍店舗へ直接納品

店舗へ直接納品する場合は、要注意です。

  1. 店舗までの動線の確認
    トラック等で搬入になるため、道幅や搬入ルートを事前に確認します。
  2. 荷降ろしの際の確認
    店舗ではフォークリフトなどの荷降ろし機材がない場合が多いので、搬入のタイミングに合わせて人員を手配する必要があります。
  3. 輸送機材の確認
    ・海上輸送の場合、FCLで輸入する場合がありますが、店舗搬入口に入れない場合があります。
     その場合、港湾エリアの倉庫でコンテナから任意のトラックに積み替えます。
    ・航空輸送の場合、混載便・軽トラック・2トン・4トン・10トントラックのどれかになります。
     店舗までの道幅等を考慮してトラックを選定します。

一般的に気をつける部分は上記の3点になりますが、搬入場所がビルの2階とか、駐車スペースから搬入場所が離れている場合など、様々なケースが考えられます。

搬入はトラブルが起こりやすいので、注意しましょう。

 7.まとめ 

これから古着の販売にチャレンジする方は、おそらく少量からのスタートになると思います。

アクセス・ジャパンとしてお手伝いできるタイミングは、課税価格が30万円を超えて「業務通関」になった際だと思います。

「業務通関」は「旅具通関」に比べて、作業量が数倍に膨れ上がりますので、その際には早い段階で私共にご依頼をいただくのが最良です。

通関料等の費用はかかりますが、ご自身ですべて対応する労力や時間に比べたら経済的だと思います。

進め方に不安や不明点がある方は国際物流コンサルティングサービスをご検討ください。

アクセス・ジャパンではその不安を一緒に解消し、輸入貿易を成功に導くノウハウをお伝えします。

まずは無料のヒアリングから行いますのでお気軽にご相談ください。

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