ニジマス発眼卵の輸入方法(航空輸送)

いくらの画像

回転寿司で人気のあるサーモンですが、一昔前は輸入が一般的でした。

近年では国産養殖のサーモンが出るようになり、スーパーマーケットでも見かけるようになりました。

国産のサーモンは、発眼卵を輸入し、それを孵化させる手法が増えてきました。

海外のサーモンは成長が早く、病気に強いという特性があり、これからも海外の発眼卵の輸入は増えていくでしょう。

ここでは、ニジマスの発眼卵の輸入について詳しく解説していきます。

輸入にチャレンジする方は必ず最後まで御覧ください。

 1.ニジマスの発眼卵について 

発眼卵(はつがんらん)とは、魚の卵が受精し、眼が形成された状態のことです。

この段階の卵は、孵化直前の状態で、人間の目視で眼が確認できます。

発眼卵は、稚魚や他の状態の卵よりも丈夫で扱いやすいため、放流に用いられることがあります。

ニジマスの発眼卵は、受精後約14日で発眼し、その後、透光検卵機による死卵除去などの選別を経て、出荷されます。

発眼卵を放流することで、天然水域に早く慣れ、魚の姿かたちが美しくなるというメリットもあります。

国内で飼育した親魚から卵を採取する技術は確立していますが、海外の養殖ニジマスは成長が早く病気(冷水病)に強いなどの優位性があるため、現在では輸入発眼卵を積極的に導入しています。

 2.近年の輸入動向 

ニジマスの発眼卵の輸入のみを集計したデータは見つからなかったので、孵化用の魚卵についてのデータをもとにして近年の輸入動向を探っていきます。

以下、表とグラフはタップ・クリックすると拡大表示されます。

✍孵化用魚卵の輸入重量と金額


孵化用魚卵の輸入は2021年の多量の輸入を除けば、多少の変化はありつつも一定の需要があるように見えます。

輸入金額については為替レートの影響を除いても(ドルベースで考えても)金額は右肩上がりになっています。

続いて輸入国ごとの状況を見てみます。

✍孵化用魚卵の輸入重量と金額(国別)

国ごとの輸入量の推移

国ごとの輸入額の推移


過去10年の間、アメリカ合衆国からの輸入が重量、金額ともにトップです。
2021年の輸入量増大の理由は分かりませんでしたが、全体的に右肩上がりです。

カナダからの輸入は完全に失速してしまった感がありますが、アイスランドからの輸入は増加傾向にあります。

アメリカ合衆国からの輸入は安定していると言えると思いますが、輸入先を複数にすることによってより安定した供給が行える可能性は検討の余地があるかもしれません。

次に生鮮トラウトの輸入状況と日本国内におけるニジマスの養殖の状況を見てみます。

✍生鮮トラウトの輸入状況と日本国内のニジマス養殖の状況

生鮮トラウトの輸入状況

日本国内のニジマス養殖の状況


生鮮トラウトの輸入が減少する一方で日本国内のニジマス養殖は増えています。

養殖をするために発眼卵が必要になるうえ、ニジマス養殖は全国で行われていることを考えると今後も発眼卵の輸入は堅調かもしれません。

 3.輸入前に確認すること 

✍動物検疫検査事前作業

農林水産大臣の輸入許可が必要になります。

輸入前に下記の確認をします。

①輸出国と衛生条件が合意されていることを確認

輸出国と日本とで衛生条件が合意されていることが輸入の条件となります。

2025年8月時点でニジマスの発眼卵の衛生条件が合意されている国は下記のとおりです。

  • 米国
  • カナダ
  • アイスランド
  • ノルウェー

現状では上記の国からのみ輸入が可能です。

②管理施設の確認(管理飼育を希望する場合のみ)

生きている水産動物の現場検査において、対象疾病の典型的な臨床症状又は著しい数の死亡が確認された際、管理命令を受けて輸入をすることを希望する場合は、輸入許可申請前に「水産動物の管理施設確認要領」に基づき、あらかじめ管理施設の確認を受ける必要があります。

→返送又は処分を希望する場合には、管理施設の確認を受ける必要はありません。

→輸入の1ヶ月前までに「水産動物の管理施設確認申請書」を管理施設を管轄する動物検疫所に提出してください。
 手続き完了後、確認書が交付されます。

③輸入許可申請

輸入者は、水産動物の日本到着5日前まで申請をしなければなりません。

後述の5.輸入通関「動物検疫検査」で詳しく解説します

※詳しくは動物検疫所のHPを参照ください。

 4.輸入に必要な書類 

輸入手続きに必要な書類一式は以下のとおりです。

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。
衛生証明書(検査証明書)原本 輸出国政府機関が発行。
輸入許可申請書 輸入者が作成。動物検疫所に提出。
輸入許可証 動物検疫所が発行。

 5.輸入通関「動物検疫検査」 

水産動物の疾病の侵入 ・まん延を防ぐため、対象の水産動物の輸入に当たっては、水産資源保護法に基づく農林水産大臣の輸入許可が必要です。

輸出国政府機関発行の《衛生証明書(検査証明書)》とその他必要書類を、到着地を管轄する農水省の動物検疫所に申請します。

✍動物検疫検査申請に必要な書類

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。
衛生証明書(検査証明書)原本 輸出国政府機関が発行。
輸入許可証 日本の動物検疫所が発行。

✍申請の流れ

①輸入許可申請

輸入者は水産動物の日本到着5日前までに、《輸入許可申請書》及び《輸出国政府機関発行の衛生証明書(検査証明書)の原本》を、輸入空海港を管轄する動物検疫所(PDF : 129KB)に提出します。
(なお、《衛生証明書(検査証明書)》は電磁記録を作成する旨を輸出国政府機関から、事前に通知がある場合、電磁的記録をもってこれに代えることが可能です。)

輸入許可申請書:PDFファイル(PDF : 77KB)wordファイル(word:79KB)

また、生きている水産動物のうち養殖用のものについては、輸入後に都道府県による着地検査を受ける必要があるため、《輸入許可申請書》及び《輸出国政府機関発行の衛生証明書(検査証明書)の写し》を、仕向先都道府県の水産防疫担当部署にも送付してください。

②書類審査

動物検疫所は、提出された《衛生証明書(検査証明書)》の内容が、輸出国とあらかじめ合意した衛生条件を満たしていることを確認します。

③現物検査

動物検疫所は、動物検疫所の検査場等で水産動物の現物検査を行います。

現物検査の結果、異状が確認された場合には精密検査を行うことがあります。

また、生きている水産動物の現物検査で異状が確認された際、あらかじめ管理施設の確認を受けていない場合には、返送又は処分することとなります。

④輸入許可証の発行

現物検査で異状が確認されなかった場合、《輸入許可証》が交付されます。
生きている水産動物の現物検査で異常が確認された際、既に管理施設の確認を受けている場合には、管理命令を付して《輸入許可証》が交付されます。

※《輸入許可証》は輸入申告の際に税関へ提出します。

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 6.輸入通関「税関申告」 

✍HSコード・関税

❏ニジマスの発眼卵:0511.91-120

  • 基本:FREE
  • WTO協定:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    以下全てFREE
     シンガポール・メキシコ・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア
     ブルネイ・ASEAN・フィリピン・スイス・ベトナム・インド
     ペルー・豪州・モンゴル・CPTPP・EU・英国・RCEP(*1)
  • 日米貿易協定:適用なし

*1:ASEAN・豪州・ニュージーランド・中国・韓国

✍輸入通関に必要な書類

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。
輸入許可証 日本の検疫所が発行

✍輸入申告

上記の「必要書類」をもとに《輸入申告書》を作成し、必要書類を添付して税関に申告します。

審査が終了し輸入関税・消費税を納税すると輸入許可となり貨物を引き取ることができます。

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 7.輸送について 

ニジマスの発眼卵の輸送には温度管理が重要です。

一般的には発泡スチロール梱包をし、氷もしくは保冷剤を入れて保冷状態を維持します。

また、航空輸送はできるだけ直行便を使用し、リードタイムを最小限にする配慮が必要になります。

フォワーディング及び日本での輸入通関は、経験値の高い業者を選定することが重要です。

 8.まとめ 

輸入する際は事前に準備または期日までに手続き等をしなくてはいけないことが多くあります。

そのため、余裕をもって準備することをお勧めいたします。

弊社では、ニジマスの発眼卵の輸入は、通年を通して取扱っており、常に最短で納品できるよう努めております。

輸入するタイミングがございましたら、できるだけ早くお問い合わせいただけましたら幸いです。

輸入が初めてで進め方がわからない、現在輸入を進めているがこの進め方であっているのか不安だという方は国際物流コンサルティングサービスをご検討ください。

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