公開日:2020/12/21 /
1.和牛とは
世界中で高い評価を受けている和牛ですが、「和牛」を名乗るには一定の条件を満たしている必要があります。
農林水産省が2007年(平成19年)に公表した「和牛等特色のある食肉の表示に関するガイドライン」によれば、次の2つの条件を満たすことで「和牛」と呼ぶことができます。
①次に掲げる品種のいずれかに該当する牛であることを下記の証明・確認方法AおよびBで証明・確認できること
- 黒毛和種
- 褐毛和種
- 日本短角種
- 無角和種
- イからニまでに掲げる品種間の交配による交雑種
- ホに掲げる品種とイからホまでに掲げる品種間の交配による交雑種
②国内で出生し、国内で使用された牛であることを下記の証明・確認方法Bで証明・確認できること
◯証明・確認方法
- 家畜改良増殖法に基づく登録制度等による証明
- 牛トレーサビリティ制度による確認
このページでは和牛か否かは関係なく、「牛肉」の輸出方法に着目して解説していきます。
2.事前確認
✍輸出可能地域の確認
牛肉はどの国にも輸出できるわけではなく、2国間協議を経て、条件を確立した国にのみ輸出が可能です。
輸出条件は輸出先国によって違うため、輸出したい国の条件を確認し、それを満たさなくてはなりません。
✍輸出食肉取り扱い施設の確認
牛肉は認定を受けた食肉処理工場(と蓄場)で処理されたもののみ輸出ができます。
認定と蓄場は輸出先国ごとによって違うため注意が必要です。
牛肉の銘柄を指定して輸出したくても、その銘柄を取扱っていると蓄場が輸出先国の認定リストに含まれていない場合、輸出できません。
3.近年の輸出動向
以下、全ての表とグラフはクリックすると拡大表示されます。
✍牛肉の輸出状況(重量と金額)
牛肉の輸出は重量、金額ともに右肩上がりです。
海外での牛肉需要がかなりの増加傾向にあると言えます。
次に「生鮮・冷蔵」と「冷凍」とで輸出状況が異なるのかを確認します。
✍牛肉の輸出状況(「生鮮・冷蔵」「冷凍」の確認)
わずかに冷凍の方が生鮮・冷蔵を上回りますが、どちらも重量、金額は右肩上がりです。
正しく輸出することができれば、生鮮・冷蔵であっても冷凍であっても海外の市場を対象に取り引きができていそうです。
次に輸出先国の割合を確認します。
✍牛肉の輸出状況(生鮮・冷蔵の輸出先国の確認)
✍牛肉の輸出状況(冷凍の輸出先国の確認)
生鮮・冷蔵と冷凍とで多少の差異はありますが、「台湾」「アメリカ合衆国」「香港」の割合が大きいようです。
注意すべきなのは「カンボジア」です。
これまでに何件も、和牛をカンボジアに輸出すると偽り、香港へ不正輸出するという事件が発生し、逮捕者も出ています。
香港での需要があるのは良いことですが適正な輸出を行いましょう。
4.必要書類
一連の手続きに必要な書類は次のとおりです。
| 書類名 | 書類作成者等 |
|---|---|
| インボイス | 輸出者が作成。 |
| パッキングリスト | 輸出者が作成。 |
| 原産地証明書 | 商工会議所にて取得。パッキングリストを商工会議所に提出。(※) |
| 部位明細書 | 食肉処理工場が作成。 |
| 衛生証明書 | 食肉処理工場が作成。 |
| AIR WAYBILL | 航空輸送の場合、フォワダー(通関会社)が発行。AWBとも言う。 |
| SEA WAYBILL | 海上輸送の場合、フォワダー(通関会社)が発行。 |
| 輸出検疫証明書 | 動物検疫検査終了後に農水省より発行。 |
※アクセス・ジャパンにて代行取得が可能です。
5.動物検疫検査
✍動物検疫申請に必要な書類
動物検疫検査に必要な書類は次のとおりです。
| 書類名 | 書類作成者等 |
|---|---|
| インボイス | 輸出者が作成。 |
| パッキングリスト | 輸出者が作成。 |
| 原産地証明書 | 商工会議所にて取得。パッキングリストを商工会議所に提出。(※) |
| 部位明細書 | 食肉処理工場が作成。 |
| 衛生証明書 | 食肉処理工場が作成。 |
※アクセス・ジャパンにて代行取得が可能です。
✍動物検疫申請
上記の書類をもとに通関業者が申請書を作成し、書類に矛盾が無いかを確認します。
申請書に必要書類を添付して、農水省の動物検疫所へ提出します。
✍動物検疫検査の実施
検査官立会いの下、現物(牛肉)及び現物に貼ってあるラベルの内容(部位名・数量・重量等)と書類が一致しているかを確認します。
✍輸出検疫証明書の発行
現物と書類に問題が無ければ《輸出検疫証明書》が発行されます。
6.輸出通関
✍輸出通関に必要な書類
輸出通関に必要な書類は次のとおりです。
| 書類名 | 書類作成者等 |
|---|---|
| インボイス | 輸出者が作成。 |
| パッキングリスト | 輸出者が作成。 |
| 原産地証明書 | 商工会議所にて取得。パッキングリストを商工会議所に提出。(※) |
| AIR WAYBILL | 航空輸送の場合、フォワダー(通関会社)が発行。AWBとも言う。 |
| SEA WAYBILL | 海上輸送の場合、フォワダー(通関会社)が発行。 |
| 輸出検疫証明書 | 動物検疫検査終了後に農水省より発行。 |
✍輸出通関書類の作成
上記の書類をもとに《輸出通関申告書》を作成します。
✍税関へ申告
《輸出通関申告書》に必要書類を添付して税関に申告します。
審査が完了し、問題が無ければ《輸出申告許可書》が発行されます。
以上で手続きは完了です。
必要書類と商品(牛肉)を飛行機、もしくは船で輸出先国へ運びます。


7.おまけ
✍牛肉の輸出梱包について
海上輸送であればリーファーコンテナを使用することで、鮮度を維持することができますが、20FEETコンテナにするにしてもそれなりの物量が必要です。
※LCLの保冷の輸送は航路が限られているので、お問い合わせくださいませ。
コンテナを仕立てるのに満たない物量の場合、航空便が使用されます。
飛行機内の温度は常温のため、そのまま搭載すると鮮度が落ちてしまいます。
そこで鮮度維持の手法として下記の2つがあります。
❏保冷のトライオールで商品を囲み、ドライアイスを入れて保冷をする。
👉メリットはなんと言っても鮮度が維持されることです。
👉デメリットはトライオールの費用が掛かることです。
※トライオールとは1m x 1mの強化段ボールで、保冷の場合は内側に発泡スチロール板を付けます。非常に高価。
❏フライトを直行便にし、出発ギリギリまで冷蔵庫保管。飛行機内では常温になってしまいますが、到着空港ですぐに冷蔵庫に入れる。
👉メリットはコストが安いことです。
👉デメリットは常温でどれくらいの時間品質が維持できるのか見極めるのが困難です。
※牛肉は真空パックされていることが多いため、品質が落ちにくい状態となっております。
✍輸出する牛の月齢について
月齢30ヵ月以下を条件としている国があります。
これはBSE(牛の病気)のリスク回避のために設定された条件です。
牛は月齢を重ねることで、病気などのリスクが高まる一方、長期肥育による品質の向上が見込まれます。
日本に多くあるブランド牛は、名乗る条件の一つに長期肥育があります。
生産者としては長期肥育し付加価値を付けてブランド牛として出荷したいところですが、各国の月齢30ヵ月以下という輸入条件が壁となっていました。
そんな中、農林水産省が各国と交渉した結果、月齢条件を撤廃する国が多くなってきています。
一例ですが、令和2年6月2日にマカオ向け牛肉輸出が月齢撤廃となりました。
日本の誇るブランド牛が、ますます世界に広がることでしょう。
■■ ご注意ください ■■
当ページに記載の内容は公開日時点の情報を数多く含んでおり、最新の情報・状況とは異なることがあります。
最新の情報については弊社にお問い合わせください。
8.よくあるご質問
Aいいえ、輸出先国と日本の間で検疫条件が合意されており、かつ指定された「認定施設」で処理された肉である必要があります。現在、米国、EU、香港、台湾など多くの国・地域へ輸出が可能ですが、輸出先国ごとに細かいルールが異なります。まずはご希望の国が対象かどうか、弊社までお気軽にお問い合わせください。
A残念ながら、一般的な精肉店で購入したお肉をそのまま輸出することはできません。輸出用には、輸出先国向けの輸出認定を受けた「と畜場」および「食肉処理場」で処理・梱包されたものであることが必須条件となります。
Aはい、たとえ少量であっても「検疫物」に該当するため、動物検疫所での検疫証明書の取得が必要です。また、輸出先国側の輸入規制により、個人宛の送付が禁止されているケースも多いため、事前に確認が必要です。
A基本的には「航空便」かつ「冷凍(または冷蔵)」梱包(保冷トライオール+ドライアイスもしくは保冷剤)を利用します。特に和牛はサシ(脂肪)が命ですので、徹底した温度管理が求められます。弊社では、ドア・ツー・ドアで一貫したコールドチェーンをご提案可能です。
A主に以下の書類が必要です。
・インボイス
・パッキングリスト
・動物検疫所が発行する《輸出検疫証明書》
・輸出先国によって異なりますが《衛生証明書》や《原産地証明書》
A国内運送料、輸出検疫申請代行料、通関手数料、航空運賃、現地での関税・消費税、さらには現地の配送費などがかかります。品目や仕向地によって大きく変動するため、詳細をお伺いした上で御見積をいたします。
A航空便の場合、手続きを含めて発送から概ね3〜5日程度で現地へ到着するのが一般的です。ただし、輸出検疫の予約や現地での通関状況により前後することがあります。
A輸出先国によって異なります。精肉(筋肉部分)は許可されていても、内臓や骨付き肉は制限されている国が多いです。例えば、米国向けは内臓の輸出に厳しい制限がありますが、香港などでは可能な場合があります。
Aはい、多くの国で輸入規制として「現地語での成分表示や保存方法のラベル」が義務付けられています。これに不備があると現地で足止めを食らう(止まってしまう)ため、事前に仕向地の表示ルールを確認し、シッピングマークを準備する必要があります。
Aはい、CPTPP(TPP11)や日EU・EPAなどを活用することで、牛肉の関税が撤廃または削減されるケースがあります。適用には「特定原産地証明書」の取得など一定の手続きが必要ですので、コスト削減をご希望の際はぜひご相談ください。
お問い合わせはこちら
些細なことでも構いません。
お気軽にお問い合わせください。


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