生鮮トリュフの輸入方法

お皿に盛られたトリュフの画像

トリュフは年々輸入量が増えている商材です。

高価であり鮮度が重要視されますので、航空輸送が主流です。

大変デリケートなため、温度管理など輸送には一定のノウハウが必要です。

トリュフの輸入にチャレンジする方は必見です!

 1.トリュフとは 

トリュフは、地中深くにひっそりと息づく、塊状の珍しいキノコの一種です。

その希少性と独特の風味から、フォアグラ、キャビアと並び「世界三大珍味」の一つとして広く知られています。

和名では「セイヨウショウロ(西洋松露)」と呼ばれています。

自然の恵みであるトリュフは、特定の山林の土壌に埋まっており、生育する場所も限られています。

特に白トリュフは安定した人工栽培方法が見つかっておらず、採取量も少ないため大変貴重です。

古くから伝わる採取方法では、特別な訓練を受けた豚や犬がその芳醇な香りを嗅ぎつけ、地中から掘り出すという手法が用いられています。

このように、生育場所の限定、採取の難しさ、そして何よりもその比類なき風味から、トリュフは非常に高価な食材として珍重されています。

 2.トリュフの種類 

トリュフは大きく分けて「白トリュフ」「黒トリュフ」の2種類があります。

✍白トリュフ(Tuber magnatum)

栽培方法が確立されておらずイタリア半島のアペニン山脈などのごく限られた地域でのみでしか自生していません。

その希少性からトリュフの中で最も高値で取引され、「トリュフの王様」や「白いダイヤモンド」とも呼ばれています。

薄く繊細な外皮に覆われており、ニンニクにも似た特有の強烈な香りを放ちます。

シーズンは10月~12月。

✍黒トリュフ

フランス、イタリアなどで収穫され、特に南西フランスのペリゴール産が有名です。

黒く硬い外皮に覆われており、白トリュフとは異なり人工栽培が可能です。

季節によって収穫できる品種が異なり、ウィンタートリュフ、サマートリュフ、オータムトリュフがあります。

ウィンタートリュフが最も香りが強く、また高価です。

  • ウィンタートリュフ(Tuber melanosporum)
    イタリアでは「ネーロ・プレジャート」と呼ばれる黒トリュフの代表格、フランスのペリゴール産のものが有名です。
    赤ワインやチョコレートにも例えられる鼻に抜ける複雑な香りを持ち、外皮だけでなく中身の色も濃いのが特徴です。
    シーズンは、12月~3月。
  • サマートリュフ(Tuber aestivum)
    キノコとしての香りに加え、ナッツを思わせる香りを持っています。
    中は淡いクリーム色で他のトリュフと比べ香りは弱く、夏に近づくにつれ香りが少しずつ強くなっていきます。
    シーズンは4月~8月と長めです。
  • オータムトリュフ(Tuber uncinatum)
    サマートリュフの変種であるため熟したサマートリュフと似た香りをしています。
    中はウィンタートリュフとサマートリュフの中間ぐらいの色です。
    白トリュフと同時期の10月~12月にシーズンを迎えます。

✍その他のトリュフ

  • 中国黒トリュフ(Tuber indicum)
    インドのヒマラヤや中国の一部地域に自生しています。
    見た目や香りはウィンタートリュフに近く、ヨーロッパ産のトリュフと比較してリーズナブルです。
    10月より熟しシーズンを迎えます。

 3.トリュフの輸入動向 

以下、表とグラフはタップ・クリックすると拡大表示されます。

✍輸入生鮮トリュフの金額と重量


2019年までは順調に輸入金額、輸入重量共に伸びていましたが、2020年に大きく落ち込みます。

この落ち込みは2019年末から始まったコロナ禍により、外出制限やインバウンドの減少により外食産業が大きな痛手を被ったことが一因のようです。

このことは訪日外客数の推移と相関関係が見て取れることから間違いないようです。


2021年を訪日外客数の底として、以降は増加しており、これに比例するように生鮮トリュフの輸入量が増えています。

今後、日本政府は2030年までに訪日外客数を6,000万人に増やそうとしているので、これに応じて外食産業(特に高価格帯のフランス料理店)が活況となれば生鮮トリュフの需要も増えることが見込めると思います。

✍輸入生鮮トリュフの国別比率(金額、重量)


金額、重量共にイタリアが1位です。

金額面ではフランス、スペインがイタリアの後を追っていますが、重量面では中国が2位になっています。

これは中国産トリュフが低価格であることを表しています。

中国産トリュフの品質については様々な評価があるようなので、低価格=低品質と決めつけてしまうのは良くないと思いますが、安定した品質と安心感を求めるのであればイタリア産の方が良いかもしれません。

✍イタリアからの輸入状況(金額、重量)


輸入金額、重量共に1位のイタリアですが、時期によって変動します。

この変動は、時期ごとに採れる種類が異なるからだと思います。特に、10月から12月の高騰は白トリュフの影響があるのではないでしょうか。

安定供給のためにもイタリア産を取り扱うのは良いと思いますが、利益面で考えると6月から8月は少し心許ないかもしれません。

6月から8月の利益面の手薄さをカバーできるかもしれないのがオーストラリア産です。

オーストラリアは南半球にあり、ヨーロッパとは旬の時期が異なるためか、重量面ではイタリアに遠く及ばないものの高単価での輸入が行われています。

 4.輸入前に確認すること 

✍自主検査(ヨーロッパ地域からの輸入)

きのこ類等をヨーロッパ地域から輸入する際には、放射性物質に関する自主検査が必要です。

日本到着時に自主検査をする方法と、輸出国の公的機関による放射性物質検査合格書をもって食品等輸入届出を行う方法があります。

輸出国公的機関発行の書類を使用する場合は、商品を輸入する前に日本側で書類が使えるかどうかを確認しましょう。

詳しくは7.輸入通関「食品等輸入届出」で解説します。

なぜ放射性物質検査が必要なのか?

1986年に起きた旧ソ連ウクライナ共和国のチェルノブイリ原発事故の影響が未だに懸念として残っているうえに、キノコ類が放射性物質を蓄積する性質があるため、放射性物質に関する自主検査が行われてきました。

現在の基準値は2011年3月に起きた福島第一原発事故を受け、2012年3月に放射線物質に関する新基準が公布された「一般食品:100Bq/kg」です。

参考:チェルノブイリ原発事故に係る輸入食品の監視通知書

 5.輸送時の注意点 

✍梱包と輸送時の温度管理

❏梱包について

生鮮トリュフは非常にデリケートな商材です。

香りを保つためには鮮度を維持する必要があり、また輸送時の衝撃で傷がつかないような対策が必要です。

鮮度維持をするためには、梱包を発泡スチロールにし、必要(季節や輸送経路)に応じて保冷剤を入れるなどします。

また、適度な湿度と傷防止のために湿らせたキッチンペーパーなどでトリュフを包んだり隙間を埋めたります。

❏輸送について

生鮮トリュフは航空輸送が主流です。

航空輸送には「常温仕様」と「保冷仕様」があります。

「常温仕様」は特に温度に関するケアはありません。

「保冷仕様」になると、下記の要素が付帯され、運賃が常温仕様よりも高くなります。

  • 発地空港、経由空港、到着空港で冷蔵庫保管されます。
    ただし、飛行中の機内では常温になるため、その間の保冷は発泡スチロール梱包や保冷剤でカバーします。
  • プライオリティサービス
    到着空港では、飛行機到着後すぐに冷蔵庫へ搬入及び保管する必要性から、優先的に飛行機から降ろされます。
    そのため、到着から引取まで短時間で行うことが出来ます。

鮮度を維持するためには、季節に応じて常温輸送と保冷輸送を使い分ける必要があります。

また、保冷剤の重量も運賃に加算されるため、多ければ良いというわけでもありません。

輸入する毎に保冷剤の溶け具合を確認し、最適な分量を心がけることで無駄なコストを削減することが出来ます。

✍航空運賃に関する注意

航空運賃の算出には下記の要件が必要です。

  • 出発空港、到着空港
  • 温度管理の有無
  • 個数/重量/サイズ

航空運賃は実重量(梱包材含む)と容積重量を比較して、重いほうが採用されます。

■航空運賃の容積重量計算式
 幅cm x 奥行きcm x 高さcm ÷ 6,000 =容積重量
 ※国際宅急便は容積重量の計算方法が違う場合があります。

■例:1個 実重量100kg サイズ:幅100cm 奥行き100cm 高さ100cm(1cbm)の場合
 100cm x 100cm x 100cm ÷ 6,000=166.666・・・
 →容積重量167kg となります。
 実重量100kgよりも容積重量のほうが重いため、この貨物は167kgとして計算されます。

貨物を輸送する際は、適正な大きさの発泡スチロールで運ばないと、想定以上の運賃がかかる場合があるので注意しましょう。

 6.輸入に必要な書類 

輸入手続きに必要な書類は以下のとおりです。

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
ARRIVAL NOTICE 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。
食品等輸入届出済証 日本の厚労省食品監視課が発行。
放射線検査合格書 ヨーロッパ地域から輸入する場合に必要。現地検査機関が発行。

 7.輸入通関「食品等輸入届出」 

※トリュフは食品なので厚労省の食品監視課に「食品等輸入届出」の申請が必要となります。

✍食品等輸入届出の申請に必要な書類

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
放射線検査合格書 ヨーロッパ地域から輸入する場合に必要。現地検査機関が発行。

✍自主検査(ヨーロッパ地域からの輸入)

ヨーロッパ地域からのキノコは輸入する際には放射性物質検査が必要です。

検査は日本もしくは輸出国側で実施し、厚生労働省に放射性物質検査証明書を提出します。

■輸出国側で検査をする場合

輸出国側で発行された放射性物質検査証明書(Testing Report や Analysis Reportといった名称)を使用する場合は、その書類が適用可能かを、輸入前に厚生労働省に確認しましょう。

なお、日本の厚生労働省に登録された検査機関(外国公的検査機関)が発行したものでなければ使用できません。

■日本到着時に検査をする場合

作業は下記の流れで行われます。

  1. 商品が日本の空港に到着
  2. 保税状態の商品から検査用の検体を採取
    ※採取量:1kg
  3. 検査日数:4営業日
  4. 検査が終了すると検査証明書が検査機関より発行されます。
  5. 食品等輸入届出をする際に検査証明書を添付します。

注意!!

ヨーロッパ地域のトリュフを日本で検査をすると、検査用として1kg採取されます。

さらに検査費用が発生しますので、できる限り輸出国の検査証明書を入手するようにしましょう。

✍申請の流れ

  1. 上記必要書類をもとに《食品等輸入届出書》を作成。
  2. 輸入する港の管轄の厚労省食品監視課へ、必要書類を添付して申請。
  3. 審査後に問題がなければ《食品等輸入届出済証》が発行されます。

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 8.輸入通関「税関申告」 

✍HSコード・関税 ※2025年4月

❏トリュフ(生鮮):0709.56-000

  • 基本:5%
  • WTO協定:3%
  • 特恵GSP:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    以下全てFREE
     シンガポール・メキシコ・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア・ブルネイ
     ASEAN・フィリピン・スイス・ベトナム・インド・ペルー・豪州・モンゴル
     CPTPP・EU・英国・RCEP(*1)
  • 日米貿易協定:適用なし

 *1:ASEAN・豪州・ニュージーランド・中国・韓国

輸入商材を販売する際、仕入原価はしっかり考えるべき要素の一つです。
関税は仕入原価になるので、輸入前に最新の関税率を把握することは大変有益だと思います。

アクセス・ジャパンでは最新の税番・関税率をお調べするサービスをご提供しています。

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✍輸入申告に必要な書類

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。AWBとも言う。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
ARRIVAL NOTICE 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。
食品等輸入届出済証 日本の厚労省食品監視課が発行。

上記の書類をもとに《輸入申告書》を作成し、必要書類を添付して税関に申告します。

審査が終了し輸入関税・消費税を納税すると輸入許可となり貨物を引き取ることができます。

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 9.まとめ 

日本国内で消費されるトリュフの大部分は輸入品であり、国産トリュフの自給率は非常に低い状態です。

トリュフ輸入量は増加傾向にあり、今後も海外からの輸入が主流になります。

現在、輸入されるトリュフの9割が成田空港で輸入されています。

弊社はその成田空港に本社を構え、多くのトリュフ輸入の実績があります。

非常にデリケートな商材であるトリュフの輸送及び輸入通関は弊社にお任せください。

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